「3歳児は覚えてないからウィンウィン」と語る性加害者も… 性犯罪治療のプロが解説する小児性加害の実態 「日本版DBSは加害者を守るものでもある」

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「あの人は悪くない」と性加害者を擁護

 こんな例があります。親が娘のLINEを見て発覚したのですが、小学6年生の女児が、50代の加害者と性行為をしていた。親はカンカンですが、その子は「警察に言わないで。あの人は、悪くないから」と、被害届を出すことを拒んだそうです。これが、グルーミングの怖さです。加害者は、非常に巧みなテクニックを駆使します。「いずれ、経験するから、僕が先に教えてあげるね」、「これは、性教育だよ」、もしくは「これは、君だけにすることなんだよ」などと特別感を演出し言いくるめるのです。

 加害者は、どのようにターゲットを選んでいると思いますか。選ぶ基準は好みの外見かどうかだけではなく、加害行為をバラさずに、泣き寝入りしてくれる子かどうかです。タイプの人というより、「声を上げない人」を選んでいるのです。

 誤解が多いのですが、性加害は、衝動的に行うものではありません。むしろ彼らは非常に冷静。ターゲットと時間、場所、状況などをしっかり選んで行為に及ぶ“計画的犯行”なのです。

本質は支配欲

「逮捕されなかったら、ずっと続けていましたか?」

「なぜ、性加害を行う必要があったのですか?」

 前述の通り、私はこれまで3000人を超える性加害者の再犯防止プログラムに関わってきましたが、初診時には必ず、これら二つのことを聞くようにしています。一つ目の質問には、全員が「はい」と答えるのに対し、二つ目の質問に「性欲を満たすため」と答える人は実はほとんどいません。ストレスの発散、弱い人を支配したかったという支配欲――また、追い詰めたい感覚や、達成感や優越感を犯行の理由に挙げる人もいるのです。ロールプレイングゲームみたいな感覚、レジャー感覚、あるいは“飼育欲”と答える人も。

 性暴力にとって、性欲や性衝動というのはあくまでトリガーで、本質は支配欲なのです。

 中には、初対面で巧妙に性的グルーミングをする人もおり、「お嬢ちゃん、背中に虫が付いてるよ。ちょっと取ってあげるよ」「服の中に入ったから、服の中に手を入れるよ」と、冷静にごく短時間で加害行為に及ぶという、高等テクニックを使ったりします。

 あるいは、「おじちゃんの、ここ触ってごらん」、「お金あげるから、なめて」など、子どもの側に行為を促すやり方も。性加害に及んだ後は、「誰にも言っちゃダメだよ。二人だけの秘密だよ」、「これを言ったら、お母さんが泣いちゃうよ」、「スマホの写真をばらまくよ」などと言いくるめ、加害行為を継続しようとするわけです。

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