「3歳児は覚えてないからウィンウィン」と語る性加害者も… 性犯罪治療のプロが解説する小児性加害の実態 「日本版DBSは加害者を守るものでもある」

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「外見で見分けることは不可能」

 小児性加害者といえば、皆さんはどのような人物を思い浮かべますか。幼女連続誘拐殺人事件の宮崎勤のように、見るからに「オタク」「非モテ」「陰キャ」で不潔なイメージの人物を連想するかもしれませんが、実際の小児性加害者は多くがどこにでもいる「普通の人」。むしろ物腰が柔らかく紳士的で、子どもから「優しそうなお兄さん」に見える人も少なくありません。外見で見分けることはまず不可能です。

 彼らはターゲットを見定めると性的意図を隠しながら言葉巧みに誘い、根気よくコミュニケーションを図り、信頼関係を築いた上で性加害に及びます。こうした、性加害を目的に子どもを手なずけることを「性的グルーミング(性的懐柔)」と言い、ここが見ず知らずの相手を狙う痴漢や盗撮とは大きく異なるところです。

 グルーミングの行われ方にはオンライン、面識のある間柄、面識のない間柄という3パターンがあり、今はオンライン・グルーミングが非常に増えています。

カウンセラー顔負けの“聴く力”

 性加害者はSNS経由で、DMを送って子どもに近づくのですが、彼らはそれをよく「釣り」に例える。釣り糸を垂らして、引っかかってくる子どもとSNSを通して時間をかけて信頼関係を作り、最終的には会って性加害に及ぶわけです。

 彼らは冷静に、焦ることなく確実に、子どもとの関係を作っていきます。狙うのは孤立している子やお父さんを求めている子、貧困や虐待などで希死念慮がある子など、メンタルヘルスに問題を抱えている子どもたち。親から否定され、学校でも孤立し、承認してもらう経験が乏しい子たちに、彼らはカウンセリングの基本である「受容・共感・傾聴」というテクニックを使って、優しく接近していくのです。

 こういう場合の彼らは、カウンセラー顔負けの“聴く力”を発揮する。朝の「おはよう」から夜の「おやすみ」まで、手厚く子どもに寄り添い、子どもにとっては初めて大人が自分の話を否定せずに聴いてくれたという経験になり、加害者への信頼を深めていくという段階に発展するのです。

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