野党はいつまで“パーティー券問題”を引き延ばすの? コロナも円安も「とことん適切な判断ができない」惨めな国・日本(中川淳一郎)

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 自民党のパーティー券問題、すでに勃発から半年を越えましたが、毎日国会とメディアをにぎわせています。連座制やら「購入額10万円超は記載が必要」「いや、5万円超は必要だ」とやってますが、そろそろ終わらせてもらえませんかね。

 この件が延々長く続くのは、「政治にはカネがかかる」という開き直りがまかり通っているからでしょう。「いやね、選挙にはカネがかかるんですよ」なんて皆言います。でも、「選挙にはカネがかかる。だからパーティー券を売る必要がある。仕方ないんだよ!」って風潮がどこの政党・候補者にも固定概念としてあるため野党は本気で追及できず、明確な悪事とは見なされないまま、ズルズルと騒動が終わらない。

 さて、「仕事を獲得する」という意味では同じである学生の就職活動を考えてみましょうか。地方の学生が都会で面接を受けるには交通費や宿泊費がかかるから、そこには少し援助してあげたくなる。しかし、政治家という権力者になるためになんでこちらがカネを払ってあげなくてはいけないんだ? カネを払う人間は、自分に何らかの見返りがあることを期待してるからでしょ?

 そう考えると、政治家だけを悪者にするのもいかがなものか、と思ってしまうんですよ。パーティーに参加する人間・組織だって共犯関係にある。「連座制」は会計責任者と議員両方が責任を負うものですが、いっそのこと「パーティー参加者」も連座制の枠組みに入れて処罰の対象にすべきではないでしょうか。

 今回の件、「5万円超は報告しろ」とか「いや、10万円、いや、20万円!」なんてやってるから終わらない。「パーティーに参加した強欲ヒヒジジイは全員連座制の対象」としちゃえばいいんですよ。とにかく政治資金を獲得するためのパーティーは悪事である、ということにし、選挙も一切カネがかからないようにする。

 街中のポスターはカネがかかるし景観を乱すから禁止。選挙カーとウグイス嬢を使った騒音まき散らかしも禁止。やれる選挙活動は、選挙公報と政見放送と既存SNS・ブログと自身の公式HPでの情報発信だけ。

 とにかくカネの香りを排除すれば、問題は発生しないんです。あのね、正直日本はパーティー券問題を延々やり続ける状況にはないの。現在オレンジジュースが高嶺の花になっています。原産地のブラジルの不作も取り沙汰されていますが、円安も影響していることでしょう。

 各国によるオレンジ争奪戦で、日本は競争力の無さから調達ができなくなっているんです。さらには輸入牛の価格の方が国産牛より高くなった、なんて報道もあるわけで、パーティー券問題よりも円安問題・国際競争力低下問題を国会では審議すべきです。

 本当に日本の政治ってその場しのぎが多過ぎる。野党が「ココが攻め時だ!」とパーティー券問題を引き延ばしたのはその表れ。コロナでも他国が2022年初頭に経済復活へ舵を切ったのに政治屋が目先の票を得るべく「おじいちゃんおばあちゃんの命を守れ!」とやり続け、「コロナ後特需」に乗り遅れた。とことん適切な判断ができない惨めな国だ。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2024年6月13日号掲載

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