「緻密」キャラなのにずさんに見える「Believe」 木村拓哉が「何をやらせてもキムタク」問題から抜け出せない本当の理由

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 木村拓哉主演なら数字は安泰。そんな「キムタク神話」は地に落ちたのか。「Believe―君にかける橋―(テレビ朝日、以下「Believe」)」は春ドラマトップの世帯視聴率11.7%で始まったものの、個人視聴率の低下や身長詐称疑惑など、ネガティブな記事が連日のように出ている。一方、別のイメージにシフトチェンジした後輩たちの出演ドラマは好調で……。【冨士海ネコ/ライター】

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 ドラマで着用した服が売れ、演じた職種に新卒の応募が増加するなど、社会現象を巻き起こしてきた木村さん。実は年齢層で見ると50代以上の男女の視聴者が多いのが「Believe」の特徴だが、当時の「キムタク神話」を支えた層がリアルタイムで見ているということなのだろう。

 ただ、どんなに若く見えても、木村さんも今や50代。几帳面な50歳のエリート部長役のはずが、「マック見っけ」と言わんばかりの相変わらずの「とっちゃん坊や」演技には首をかしげてしまう。「何をやらせてもキムタク」という評価は、きっと木村さんにずっとついて回るのだろう。ただそれは、リアリティーよりも2次元キャラ的な夢を見せることに重点を置いてきた、ジャニーズ(現:STARTO)のDNAを体現しているともいえるのではないだろうか。

 頭も切れるし運動神経もいい、ケンカも強い。普段はのほほんとして見えても決めるところは決めるイケメン。彼らには少女漫画に出てくるような二枚目や、天才・エリート役が割り振られることが多かった。つまり、顔と肩書でぶん殴る「1軍男子」役だ。ドラマは理想のライフスタイルや理想の恋愛を見せるもの、という平成期においては、木村さんに限らず旧ジャニーズの俳優たちはそこにいるだけで説得力を持っていたといえる。

 しかし今は、恋愛ドラマは冬の時代。夢を見せるより、リアリティーを伝える演技力が問われる時代だ。たとえ漫画原作だったとしても、原作愛や解像度の高い役作りをしないと視聴者は厳しい目を向ける。日テレの「セクシー田中さん」の事件もあって、よりその傾向は強まっているだろう。

 だからだろうか、春ドラマでは木村さんの後輩たちが演じる役柄が、変化したように感じられる。1軍男子どころか、過去に傷を負った「陰のある男子」だらけなのである。

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