たった1年で総フォロワー100万人突破! 「こねこフィルム」を手掛ける“兄弟クリエイター”が明かす「話題作に必要なのは役者の“知名度”ではありません」

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仲良くやっているように見えて、皆がライバル同士

 動画制作に台本は存在しない。役者たちは撮影日の3日前に、タイトルと企画案、大まかな構成やシチュエーションだけを伝えられる。月1回の撮影現場にレギュラーの役者陣が10人ほど一堂に会し、そこで監督と役者とが一緒に作品をディレクションしていくのがこねこフィルムのやり方だ。

 そのため、現場には独特の緊張感が漂っているという。

「役者は自分でアイデアを出し、採用されないと出番がありません。作品は撮影の1週間後ぐらいには世に出るので、その結果次第で、“じゃぁシリーズにしようか”ってなることもあれば、“あの回はちょっとダメだったね”と言われてしまうこともある。仲良くやっているように見えて、皆がライバル同士なんです。そういう緊張感も大事だと思っています」(龍一さん)

 中には役者発案の企画もある。赤間麻里子さん扮する旅館の女将が、宿泊者の“決定的な瞬間”を毎回のぞき見するという「確信犯」という作品は、赤間さんのアイデアが採用されたものだそうだ。

「役者さんは自分の演技が評価対象になるわけですが、監督は企画や構成が評価対象です。役者さんの企画が自分のものより評判になったらプライドが傷つきます。だから、上位10作品は自分の作品でキープするんだという気概でやっています。これもある種の緊張感ですね」(龍一さん)

 作品のテーマに社会風刺的なものが多いのは、どういう狙いがあるのだろうか。

「それは僕たちのもともとの作風です。右か左か決められないテーマについて、“あなたはどう思いますか?”と問いかけるような、議論を呼ぶような作品をこれからも作っていきたいですね」(和比古さん)

新たな映画撮影の予定も

 最後に、2年目のこねこフィルムの目標を聞いた。

「1年かけて作り上げてきたこねこフィルムというプラットフォームを、業界全体を盛り上げる存在に成長させていきたい。一案ですが、定期的にオーディションを開催し、まだ広く知られていない役者さんの登竜門のようにしたいというプランもあります」(龍一さん)

 役者の中には、演技に極限まで向き合うばかりに、プロモーションなどが疎かになってしまう人も少なくないという。「年齢確認」の店員役・半田周平さんもその例に当てはまるそうだ。

「半田さんの演技への理解力、説得力というのは素晴らしいものがある。一方で営業やプロモーションはさっぱりで、最近まで事務所にすら入っていませんでした。演技という刀をひたすら研ぐことしかできないような役者さんが、もっと活躍の場を広げられるような、そんな役割も担っていきたい」(龍一さん)

 今年はカンヌ・ヴェネツィア、ベルリンの3大映画祭での新作披露を目指し、新たな映画の撮影も行う予定のほか、ナショナルクライントのCM制作も決まっている。

「これまでは先行投資が嵩み、事業としてはトントンの時期が続いていました。有難いことに最近は案件の問い合わせも増えてきましたので、2年目は事業拡大という面でも頑張りたいです」(和比古さん)

 ますます目にする機会が増えそうな“チームこねこフィルム”の作品から今後も目が離せない。

 こねこフィルムに関する情報はこちら https://lit.link/conecofilm

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