「10倍以上の倍率」「生まれ月も問題に」「岐路となる教室選び」…情報が少なすぎる「小学校受験」高倍率の難関校をいかに勝ち抜くか

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 かつて「お受験」は富裕層や芸能人の家庭が取り組むものだとみられていた。しかし、近年、過熱する中学受験を逃れようと、普通の家庭が挑戦する事例が増えているという。自身の子や孫にとって身近な存在になった小学校受験。その勝ち筋はどこにあるのか、難関校合格の保護者や個人教室の先生らがその秘訣(ひけつ)を語る。(以下は「週刊新潮」2024年6月13日号掲載の内容です)

慶應義塾幼稚舎は10.6倍

「もともと、うちの子には中学受験をさせようと思っていました。でも、いまの中学受験の過酷さを聞くにつれ、小学校受験の方が向いているのではないかと思って……」

 神妙な面持ちでそう吐露するのは5歳の女の子を持つ都内在住、30代の母親である。

「中学受験の場合だと、大手進学塾に通うのに小学校低学年からじゃないと入塾すらできない、と聞きますし、偏差値で順位をつけられることに子どもが耐えられるかも分からない。それなら、いっそ小学校受験をしようと。いま、いろんな学校を見て準備しています」

 小学校受験といえば、かつては都心部の高級住宅街に住む「セレブ」だけの“特殊な世界”と見なされてきた。しかし、近年、過当競争となった中学受験を回避するため、一般的な共働き家庭が小学校受験に参入するという現象が起きている。その点では、現在の親世代が小学生だった20~30年前とは全く違う教育環境になっているのである。

 小学校受験のポータルサイト「お受験じょうほう」を運営する株式会社バレクセルの代表・野倉学氏が解説する。

「首都圏における小学校受験人気は、ここ数年、右肩上がりの傾向がありました。公立小学校の教育環境に不安を感じたり、中学受験の競争を避けるためという理由で受験者が増えています。コロナ禍前に比べて1割から2割は増えている印象ですね。弊社の調べによると、2024年度入学の入試では東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県の出願者数はのべ2万5000人程度。併願を考えると、実際に受験に臨む家庭数は8000~9000世帯程度と思われます」

 受験産業全体の中では必ずしも大きなマーケットとはいえないものの、私立小学校の倍率を見ていくと、誰もが知る人気校はかなりの高倍率となっている。例えば、24年度なら慶應義塾幼稚舎は10.6倍、慶應義塾横浜初等部は13.2倍、早稲田実業学校初等部が8.9倍といった具合だ。

 小学校受験に臨もうと考える家庭で最初にハードルとなるのは、受験に関する「情報の少なさ」。そのため、有料記事を配信できる投稿プラットフォームのnote等では「〇〇小学校徹底対策」と銘打たれた記事が1本数万円単位で売られている。

 有料版では難関校に合格した保護者のエピソードや個人教室の先生が語る受験の内幕に加え、子の生まれ月問題や岐路となる教室選びなど、知られざる「お受験」の内情を詳細に報じている。

デイリー新潮編集部

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