【追悼】女性漫才の先駆者・今くるよさんの“飾らない素顔” 「いつもあのまんまで裏表がない」「小さな仕事も一生懸命」

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「小さな仕事も一生懸命で真面目」

 こうして70年、当時、島田洋介さんとの夫婦漫才で活躍する実力派、今喜多代さんに弟子入り。芸名は師匠の「きたよ」に続いて「いくよ」「くるよ」となる。

 新人時代を知る放送作家の大河内通弘さんは言う。

「元気でスポ根、礼儀正しくハイと返事がいい。人を疑わず先輩の言うことを素直に聞き、からかわれてもいた。この薬を買ってきてと言われ、それが精力剤でも怒らなかった。小さな仕事も一生懸命で真面目。私らスタッフに好かれていた」

腹をたたく芸が大受け

 腐らず工夫し続けた。

「くるよさんの羽飾りのような服は、ファッション好きないくよさんが“こんなデザインが体形に合う”とひらめいたもの」(相羽さん)

 いくよさんが「私の胸はAカップ」と言い、くるよさんが「私の腹はワンカップ」と、へそのあたりをたたく芸が受け始め、「花王名人劇場」への出演が決まる。

 これでだめなら引退だと覚悟したが、本番で腹たたきは大受け。全力を尽くすいくよさんの首に現れた筋を指し「これ、御堂筋? なにわ筋?」と聞く即興ギャグでも会場は爆笑に包まれた。

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