テスラ株がピークから40%下落…それでも「ハイテク株の女王」が3年後の株価“10倍超”を予想する「最大の理由」
テスラ社の掲げる「ロボタクシー」構想
ロボタクシーとは、テスラのイーロン・マスク氏が掲げる事業コンセプトで、わかりやすく言えば「自動運転タクシー」の経営を行おうとするものです。マスク氏は今年の8月8日にその計画の発表をするとしています。
事業の考え方はこうです。タクシーの運用コストで最も高いのは運転手の人件費、そして燃料代です。もし、運転手を必要とせず、例えば太陽光で発電可能な電力を用いるEV車であれば、タクシー経営のコストは激減することになります。
「破壊的イノベーション」のテーマ投資で有名なアーク・インベスト社によれば、自動運転タクシーの走行コストは、人が運転するタクシーと比べ10分の1以下になるということです。
問題は、その自動運転が本当に実現可能なのかということです。
米国運輸省道路交通安全局によると、米国の交通事故の94%が人によるものだと言われています。米国の交通事故は、2020年から2021年にかけて525万件から610万件へと約16%増加。交通事故死亡者数も10%増え、2021年には米国の道路で約4万3000人が交通事故で命を失っています。
日本においても特に高齢者による交通事故が増えており、今後その傾向は続くでしょう。そういった意味でも、ヒューマンエラーのない、信頼できる自動運転技術は、私たちにとって必要な技術だと思います。
テスラ車の自動運転技術は近ごろ急速な進化を見せている
テスラ車には、FSD(フル・セルフ・ドライビング)と呼ばれる機能が搭載されています。これは、将来的に人がハンドルに触れる必要がない完全自動運転を可能にする機能です。
テスラは、テスラ車に乗る運転手のデータを取り、その莫大なビッグデータの保有と分析を長年にわたり行ってきました。そうして蓄積した技術力は他社の数年先をいっていると言われています。
FSDは無線で随時アップグレードされ、その機能は日々進化しています。日本では規制によりその機能をフルに体感することができませんが、米国でFSD機能を使ってみると、“自動運転の世界”がそれほど遠くないところまで来ていることがわかります。
私は4月末に渡米した際に、カナダ人の友人でAIの専門家であるライヤンさんに、彼のテスラ車に乗せてもらいました。そして、3時間ほど実際にFSDを使った運転を見せてもらったのです。
彼によれば、最近FSDの機能が急激に向上したと言います。彼はカナダのバンクーバーから、シアトルまで3時間かけて私に会いに来てくれたのですが、彼は自宅を出てからほとんどハンドルを触る必要がなかったそうです。
現在のFSDのバージョンは「v12.3.5」なのですが、実際に彼の運転を見ていると、本当にハンドルに触れるタイミングはほとんど見掛けませんでした。まだ完全な自動運転ではないため、ハンドルを一定時間触らないとブザーで注意喚起されてしまいます。そのため時々はハンドルを触る必要があるのですが、機能的には既に、ハンドルを触らなくても運転が可能なところまできています。
彼の奥さんは「ハンドルを握っていないと怖い」と思っているそうですが、AIの専門家である彼に言わせれば「触る必要性が限りなくなくなっている」とのことです。
私も彼のFSDを使った運転を実際に目の当たりにし、「自動運転の世界が来るのは時間の問題なのだろうな」と感じたのです。
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