広島新4番「小園海斗」は得点圏打率5割で驚異の勝負強さ、守備もメジャー級…大魔神・佐々木氏は脱帽

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トラの尻尾は十分、見える

 ただ、いくら器用だと言っても、対戦投手との相性なども考慮して、新井監督は3番小園、4番は長打力の高い末包昇大(28)という打順を組むこともある。こうした状況を指して、チーム関係者は「堂林を含めて、4番を争っているというよりも、若い選手たちがみんなで盛り上げている感がある」と語っている。結果論ではあるが、外国人選手のいない“純国産打線”で、相乗効果が出ているようだ。

 そんな今季の広島を象徴するような試合が、冒頭で紹介した佐々木主浩氏が小園を「セ・リーグAWARD」に推す要因となった5月24日のDeNA戦だった。

 1点ビハインドで迎えた8回、先頭打者の秋山翔吾(36)が出塁し、その後、送りバント、進塁打で二死三塁となった。打席に立った4番・小園は同点に追いつくことを最優先に考え、右方向に打球を転がせた。俊足を飛ばし、内野安打の間に三走の秋山が帰ってきて同点。

 延長に突入し、10回表に再び打席がまわってきた。今度は二死走者なし、小園はフルスイングすることを決めて打席に立ち、狙い通りに打球をスタンドへ放り込んだ。状況に応じて打撃スタイルを変えてみせたのだ。

「この時点で首位に立っていた阪神とのゲーム差が1.5に縮まりました。阪神も打撃不振に苦しんでいます。昨季、阪神は5月に独走態勢の足場を固めましたが、今季はそれができていません。広島が追撃したことで、ほかの球団も『今年の阪神は去年ほど強くない。互角に戦える』と、攻めの気持ちになっています」(前出・スポーツ紙記者)

 小園は広島を首位戦線に浮上させた立役者でもあるが、「混戦セ・リーグの仕掛け人」と言ってもいい。6月7日、大瀬良大地(32)が本拠地・マツダスタジアムでNPB史上90人目となるノーヒットノーランを達成したが、小園は7回に試合を決定付ける三塁打を放っている。

「スコアが2対0から4点差に広がり、チームに安堵感が生まれて、大瀬良の記録達成を後押しする雰囲気に変わりました」(前出・同)

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