オリックス3連戦で巨人が球団史上初の不名誉な記録…ここは岡本の奮起しかない【柴田勲のコラム】

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岡本和真の奮起しかない

 この3連戦前、3連勝はあっても3連敗はない、一つは絶対に取れると思っていた。

 イヤなのは戸郷翔征、菅野智之で落としたことだ。この二人でそろって負けたのだからこれは痛い。

 フォスター・グリフィンはいい球を持ってはいるのだが、ストライクとボールがハッキリしている。そこが欠点だ。次回の登板が正念場となろう。

 3連戦で合計10安打1得点。結果もさることながら内容が悪い。悪過ぎる。

 ここはもう、4番・岡本和真の奮起しかない。3連戦、10打数無安打だ。

 甘い球や狙い球を空振りしている。ファウルにもできない。空振りはダメだ。自信なさそうに振っている。この繰り返しでベンチに戻ってくる。

 2ストライクと追い込まれれば、どんな球にも対応しなければならない。挙句、外角のボール球やショートバウンドした球にも手を出している。打者が打てない時の典型だ。追い込まれる前にモノにする必要がある。

 岡本和にばかり責任がいくけど、それは仕方がない。4番だ。主砲に一発が出ればチームの雰囲気は一変する。士気が上がる。

「ブリブリ振っていこうぜ」

 4日のロッテ戦で9者連続安打というセ・リーグのタイ記録を作った。打線が爆発したように見えるが、ラッキーなヒットが多かった。どれだけ芯で捉えた打球があったか。

 阿部慎之助監督は打撃陣に「ブリブリ振っていこうぜ」と号令を出していた。

 とはいっても、なんでも振るということではなく、甘い球や狙い球を積極的に振っていこう、捉えようということだ。

 この3連戦、巨人打線で甘い球、狙い球をフルスイングした打者がどれだけいたか。自分のタイミングで振っていない。ダラダラした印象だった。一番思い切り振っていたのは泉口友汰だったと思う。

 現状、坂本が抜けると5番~8番は迫力がない。点を取れそうな気がしない。上位打線にしても丸佳浩、吉川尚輝の好調はいつまでも続かない。

 気になるのはエリエ・ヘルナンデスだ。ストライクを見逃して、ボール球を振るシーンが多くなった。

 最初は無我夢中でやっていたが、余裕ができてきたのか。もっと積極的に振ってもいい。11日からはビジターで楽天、日本ハムとの6連戦だ。楽天は交流戦で1位だ。巨人の先発は山崎伊織か。

 巨人は初っぱなを山崎で落としたら苦しくなる。ズルズル落ちていく可能性がある。踏ん張ってほしい。最後に岡本和の奮起をもう一度、呼びかけたい。(成績などは10日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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