NHK朝ドラ「ヒロインはどう決めるのか」「ギャラは本当に安いのか」…テレビ業界のナゾについて当事者に聞いた

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

視聴率が悪いと起きること

 次にNHKもドラマの視聴率を気にするのだろうか。

「気にする作品と気にしない作品に分かれます。朝ドラと大河は高視聴率が求められます。受信料でつくるNHKドラマの生命線ですから。視聴率が獲れなかった制作統括は2度と朝ドラ、大河がつくれない恐れがある。一方で芸術的作品は質と評価が要求されます。ドラマ各賞を得ることが期待される」(前出・朝ドラの制作統括経験者)

 民放はどうだろう。

「放送前、まず読み上げスポンサーに『視聴率はこれくらい獲れます』と説明する。だから、どのドラマも視聴率を獲らないとマズイ。説明には営業の人間が行きますが、プロデューサーが同行することもある」(民放幹部)

 読み上げスポンサーとは、ドラマの冒頭で社名や商品名が読み上げられるスポンサーのこと。ドラマ内のCMの放送時間が長く、高額のスポンサー料を支払う。

「説明どおりの視聴率が獲れないと、再びスポンサーのところへ出向き、『これからは盛り上がります』などと今後のストーリー展開を話す。それにスポンサーが納得しないと、テコ入れと称してストーリーを変更することもある」(同)

 だから低視聴率ドラマはときに不自然なストーリーになるのだ。スポンサーの力は世間で思われているより、はるかに大きい。

 この民放幹部はTBS「日曜劇場 VIVANT」(昨年9月終了)の終盤から木村拓哉(51)が出演するとの一部報道に触れ、目を剥いたという。

「木村さんは『VIVANT』の放送終了間際まで日産のCMのメインキャラクターでした。同業他社のSUBARUが読み上げスポンサーの1社である『日曜劇場』に出られるはずがない。今は木村さんと日産の関係は切れていますが、それはジャニー喜多川さんの性加害が社会問題化した昨年9月以降のこと」(同・民放幹部)

 木村が日産とCM契約を結んだのは2020年。一方、「日曜劇場」への出演は19年の「グランメゾン東京」以降、ない。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。