「役員ではないと」ウソを言って自身で株を買い5000万円の利益 昨年最も話題になった東証上場IT企業のインサイダー

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東京証券取引所の出身

 東証スタンダード市場に上場するIT関連企業・エーバランス(東京・品川)の元執行役員がインサイダー取引の疑いで逮捕された事件で、東京地検特捜部は金融商品取引法違反の罪でこの執行役員を起訴した。IR(投資家向け広報)を担当していた元執行役員は、未公表の重要事実を知ったうえで、自身で自社株を購入して売り抜ける大胆な行動をとっていたとされる。

「起訴されたのは、エーバランスの元執行役員、堀内信之被告です。堀内被告は去年1月、子会社がベトナムで建設を進めていた太陽光発電パネルの部品の製造工場の新設に関する情報に接し、その情報が未公開のタイミングで自社の株式を約5300万円分買い付けたとして、金融商品取引法違反(インサイダー取引)の容疑に問われています」

 と、社会部デスク。堀内被告は東証にも勤務経験があり、IRに関する見識が豊富だということで2023年1月に同社へ入社した。積極的に外部への広報を担い、YouTubeなどにも頻繁に登場していた。

4ヶ月で4倍以上を達成

 昨年の東証でエーバランス株の上昇は大きく取り上げられていたという。

「ベトナムの件を手がかりに年初から4ヶ月で4倍以上を達成しました。株式関連のメディアでも頻繁に取り上げられるなど、話題の株であったことは間違いないでしょう」
とは、ある個人投資家。

「堀内被告はかなり積極的にYouTubeなどに出演し、エーバランス株の上昇をあおっていましたね。“機関投資家が目の前で大きなオーダーの注文を入れていった”“子会社が米国市場で上場の可能性”などといった話もしていた記憶があります。他にも通常のIRならリークしそうにない機密性の高い情報をおおっぴらにしていたことも。そのこと自体、極めてレアなので注目はしていました。IRがそこまで言うのなら、と同社株を買った人は少なくないでしょう」(同)

 一方で堀内被告はベトナム工場新設を知った後の1月下旬、同社株1万9400株を約5300万円で買い付けたことがわかっている。

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