神戸山口組の井上組長が「由々しき事態」と認識する2億7000万円の賠償命令
架空の融資話を持ち掛けて
京都地裁で5月、経営コンサルティング会社の役員がヤミ金業を営む神戸山口組幹部らに金をダマし取られたとして、神戸山口組の井上邦雄組長らに対して損害賠償を求めた訴訟の裁判が開かれた。下された判決は井上組長ら被告4人に対し、請求通り約2億7000万円の支払いを命じるというもの。これについて井上組長には「由々しき事態」との認識があるという。
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事件そのものから振り返ろう。
2020年、事業資金を求めていた経営コンサルティング会社の役員は、「京都にうなるほどカネを持っている資産家がいる」との話を聞き、実際にその人物を紹介された。その場で、ある人物(A氏)の負債2億5000万円を肩代わりしてくれれば、この資産家から10億円を融資するとの説明を受けて、役員は指定された口座に送金した。が、融資は叶わず、2億5000万円も返還されることはなかった。
資産家の正体
これを受けて2021年11月、京都府警は神戸山口組傘下の2代目宅見組の幹部らを詐欺と恐喝の疑いで逮捕した。先述の資産家の正体は、神戸山口組傘下の2代目宅見組の幹部だったというわけだ。2億5000万円を肩代わりしてもらったA氏も同時に逮捕された。もちろん融資云々は架空のものだったという判断である。
「当初コンサル役員はこの資産家が2代目宅見組の幹部であることを知らなかったようです。後にそのことに気づいて返還を求めたものの拒否されて、逆に組織の名前を出して脅されたということでしたが、この幹部らはいずれも不起訴(嫌疑不十分)となりました。容疑を裏付ける証拠が弱く、公判を維持できないと検察側に判断されたものとみられます」
と、社会部デスク。コンサル役員らはこの処分を不服とし、検察審査会(検審)に審査を申し立てた。検審はA氏を起訴相当、幹部らを不起訴不当とした。
ヤクザ相手の金融業
検審は2代目宅見組の幹部に融資の意志がなかったことを指摘。結果、上部組織トップの井上組長ら4人が起訴された。事件そのものに直接関与していたわけではないのだが、暴力団対策法上の使用者責任が認められたのである。これを受けて損害賠償を求めた訴訟においても、井上組長らに対し、請求通り約2億7000円の支払いを命じる判決が下されたというわけだ。
詐欺事件で逮捕された2代目宅見組の幹部は、宅見勝組長が率いた時代は副組長として組織を支えた人物だという。
「2代目を入江禎組長が引き継ぎ本人は組長代行になりましたが、両者の関係は微妙なものになっていたようです。生業としてヤクザ相手の金融業をやっていて、確かにうなるほどのカネを持っていたと聞いています」
と、元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現在は、NPO法人「五仁會」を主宰)。
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