巨人の救世主「ヘルナンデス」はドミニカの天才野球少年だった…開幕前に帰国したオドーアとの大きな違い

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メジャーでの挫折

 スカウトが注目したのは、ヘルナンデスの身体能力だ。守備は敏捷で、バッティングではスイングスピードが速い。走も速く、肩も強い。まさに「守る、打つ、走る、投げる」の4拍子が揃った“メジャーリーガー候補生”だった。

「2011年7月にヘルナンデスはロイヤルズと契約を結びました。ところが、この時の契約金が300万ドル(約4・6億円)と高額だったことで注目が集まってしまいます。日本では桁外れの金額であることは言うまでもありませんが、アメリカでも少し高すぎました。マイナーではチームメイトから高額契約を嫉妬されて嫌われるなど、かなり苦労したようです。しかも彼は伸び悩み、19年のオフには自由契約になってしまいました」(同・友成氏)

 翌20年12月にレンジャースとマイナー契約を結ぶ。マイナーリーグで地道にプレーを続けていると、とうとうチャンスが訪れた。

「22年7月にメジャー昇格を果たしたのです。まさに“オールドルーキー”でした。このシーズン、レンジャースは苦戦が続いており、ヘルナンデスの抜擢でチームの雰囲気を変えようとしたのだと思います。しかし、首脳陣の期待にヘルナンデスは応えることができませんでした。14試合に出場し、打率は1割8分2厘。出塁率も2割という散々な内容に終わってしまったのです」(同・友成氏)

真面目な性格

 2023年に再びレンジャースとマイナー契約を結んだが、メジャーの昇格はなかった。そして今年になって巨人に拾われたというわけだ。

「近年の巨人は外国人選手の“不作”が多く、悩まされてきました。ところがヘルナンデスの契約金は5000万円と報じられており、まさに巨人スカウトの大勝利と言えるでしょう。これほどの選手を、これほど安い金額で獲得できたというのは、そうあることではありません。実はヘルナンデスはアメリカ時代、真面目な性格が高く評価されていました。ひょっとすると巨人もそこに注目したのかもしれません」(同・友成氏)

 ヘルナンデスはMLBの挑戦には失敗した。ところが日本プロ野球とは相性が良さそうなのだ。その理由を友成氏は日米のピッチャーの違いにあると指摘する。

「ヘルナンデスは速球に弱いのです。MLBのピッチャーの速球は155キロを越えますから、差し込まれて凡打になっていました。ところがプロ野球のピッチャーは140キロ台の後半から150キロ台の前半といったところです。さらにヘルナンデスはスライダーを打てるという長所がありました。日本のピッチャーなら速球にも変化球にも対応できるので、余裕が生まれたのだと思います。そして東京ドームを筆頭に、日本には狭い球場が多いという点にも助けられているでしょう」(同・友成氏)

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