「トイレの奇麗さ」は要チェック、看板に隠された情報は? プロが教える「かかりつけ医」の見つけ方

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開業医は儲からない?

 ここまで病院の「選び方」「探し方」をお話ししてきましたが、実はそれ以上に重要なのは、患者さん側の医者との「接し方」。

 世間から隔絶された医学部で教育を受け、病院という閉鎖的な環境で働いているため、扱いにくい医師もいるのは事実でしょう。とはいえ、医師といっても人の子、人の親。例えば「〇〇先生」と名前を付けて呼んでもらえるだけで、親近感が湧き、コミュニケーションが円滑になることもあるのです。

 それに、「金儲け主義」と開業医を批判する声もときどき聞かれますが、開業医もかつてほど“儲かる”ビジネスではなくなりつつあります。

 厚労省が一昨年に実施した調査によれば、開業医の平均年収は約2800万円で、そこから所得税や住民税、社会保険料などを引いた手取り額は約1600万円。これだけ見れば「高給取り」ですが、多くの開業医は開業前に銀行から個人でお金を借りているため、毎月の返済により実際の手取り額はさらに少なくなる。つまり、多くの開業医は、金儲けではなく、医師としての情熱を持って患者と接しているのです。

 患者の健康を考えて日々診療に当たり、薬を処方しているのに、毎回同じことを質問されたり、処方した薬を指示通り飲まない患者がいれば、頭にくるのは当然といえば当然です。

「理想のかかりつけ医」を見つけるためには、医師と患者双方の協力が不可欠。これこそが、最大の「極意」かもしれません。

秋津壽男(あきつとしお)
総合内科専門医/秋津医院院長。1954年和歌山県生まれ。東京労災病院等の勤務を経て、98年に東京・戸越銀座に秋津医院を開業。下町の一次医療を担う総合内科専門医として絶大な支持を集める。現在、「主治医が見つかる診療所」(テレビ東京系)にレギュラー出演。『医者とのつきあい方大全』が好評発売中。

週刊新潮 2024年6月6日号掲載

特別読物「“総合内科の達人”が伝授 大病を発見できるか否かの分かれ道 理想の『かかりつけ医』を見つける裏技」より

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