「トイレの奇麗さ」は要チェック、看板に隠された情報は? プロが教える「かかりつけ医」の見つけ方
病院のどこを見る?
例えば「受付」。見るべきは、受付の身なりや格好ではなく「手際が良いか」です。ときどき患者を「〇〇さん」と呼ぶか「〇〇さま」と呼ぶか気にする方がおられますが、そこはそんなに重要ではないはず。極端な話、「そこのお婆ちゃん、次、診察室入ってー」と言われても、やることをやってくれればそれでいいのではないでしょうか。
しかし、診察が終わったのに会計まで30分も40分も待たされたりするのは問題です。診察後に処方箋をもらって精算するだけなら、30分も時間がかかるのはあり得ないことで、スタッフ間で意思疎通がうまくいっていなかったり、業務の手順が決まっていなかったりする恐れがある。診察まで待たされるのは人気がある証拠ですが、診察後に待たされる病院は、精算以外の流れもぐちゃぐちゃになっている可能性が高いといえるでしょう。
それから「トイレが奇麗か」「花が飾ってあるならば萎(しお)れていないか」「古い雑誌を置いていたりしないか」もチェックポイント。これらは患者サービスが充実しているかどうかの判断材料になります。
ただし、単に「建物が古いから」という理由だけでかかりつけ医の候補から外してしまうのはもったいない。そういう「老舗」の病院は地域住民からの信頼が厚いなど、長年存続できた「理由」があることが多いからです。
看板に隠された情報
さて、病院を訪れる際に最初に目に入るのは、その病院の看板でしょう。この看板にも実にさまざまな情報が隠されています。
看板には複数の診療科が掲げられていると思いますが、最初に来るのは「内科」「外科」「整形外科」といった大まかな分類です。大前提として、かかりつけ医は「内科」や「総合内科」を掲げているところを選ぶのがいいでしょう。
多くの場合、この大まかな分類に続いて自分の専門科目を掲げます。つまり「内科、循環器内科……」なら、その先生の本当の専門は「循環器内科」。「整形外科、リウマチ科……」ならリウマチ科です。持病のある方は、この「専門科目」も参考になるでしょう。
中には四つも五つも診療科目を掲げている病院もあり「本当に診療できるの?」と疑問に思われることもあるかもしれません。ただ、医師は医学部ですべての病気を一通り勉強していますし、診療科によって免許が異なるということもありません。だから、例えば総合内科医の私が明日から産婦人科医になることも、スキルは別として制度上は可能です。かかりつけ医に求められているのは、患者の症状が「大病院に行く必要があるものかどうか」を判断すること。三つ目以降に挙げられている診療科目については、専門ではないでしょうが、少なくとも専門機関での治療が必要かどうかは判断ができるでしょう。
次ページ:「専門医」「指導医」は「スペシャリストとしてのお墨付き」
[4/6ページ]