「トイレの奇麗さ」は要チェック、看板に隠された情報は? プロが教える「かかりつけ医」の見つけ方

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 健康的な生活に不可欠な「かかりつけ医」の存在。だが「信頼できる主治医がいる」と胸を張れる人は案外、少ないのではないか。東京・戸越銀座で「下町の一次医療を担う総合内科専門医」として診療に当たる秋津壽男氏に、かかりつけ医と出会う極意を聞いた。

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 私は「主治医が見つかる診療所」というテレビ東京系の番組に出演しています。この番組では、毎回、健康上の悩みや疑問を持つ芸能人の方が登場し、スタジオに居並ぶ医師たちの話を聞いて、信頼のおける「主治医」を探します。

 一般の方たちも、この番組のようにケースごとに医師の話を聞き比べて主治医を見つけられればいいのですが、テレビや雑誌の企画でなければ実際には難しい。そこで重要になるのが、普段から健康上の悩みを気軽に相談できる「かかりつけ医」を持っておくことなのです。

〈目下、政府は「かかりつけ医」制度の整備に躍起だ。5月19日には、山形県の総合病院を訪問した岸田文雄総理が「かかりつけ医機能が発揮される制度整備を進める」と発言。新型コロナウイルスの感染拡大時に発熱患者が病院から受診を拒まれるケースが多発したことから、厚生労働省も今夏をめどに「かかりつけ医」機能を充実させる案をまとめる見通しだ。

 しかし、日本医師会などによれば、かかりつけ医の定義は、《なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師》。

 このようなパーフェクトな医師をかかりつけに持つ患者は少数であろう。

 では、理想のかかりつけ医はどのようにして探せばよいのか。引き続き、秋津氏の解説に耳を傾けてみよう。〉

医療崩壊を防ぐ

 一口に「病院」と言っても、街のクリニックから大学病院などの大規模病院までさまざまですが、それぞれの病院には「役割」が存在します。例えば、開業医が経営する近所の医院やクリニックは、まさに「かかりつけ医」としての役割。一方、中堅以上の総合病院には「救急医療機関や重篤な病気の治療機関」としての役割が期待されています。

 従って「体調が悪い」「風邪っぽい」などの症状が出た場合は、まずかかりつけ医の役割を担う個人病院で診てもらう。そして、そこで治療が難しいと判断された場合に初めて、紹介状を書いてもらって総合病院や大学病院で診療を受けるのです。そうすることで、高度な設備や卓越した人材を擁する総合病院に症状の軽い患者が殺到せずに済み、医療崩壊を防ぐことができるというわけです。

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