市川猿之助を何とか復帰させたい…松竹の相談に乗っている重要人物の素性 市川中車・團子は虎視眈々と

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澤瀉屋の伝統が汚される!

「判決のときは、『自分の弱さも自覚し、周囲の方々に相談し、助けていただきながら、一日一日一生懸命に生きていこうと考えています』なんて、弱気なことばを口にしていました。それだけに、役者廃業を心配していたのですが、幸い、いまのところ、その様子はない。ということは、四代目本人にも、まだまだやる気がある証拠です」

 だが、松竹が名跡を預かろうとしない理由は、ほかにもある。市川中車(香川照之)・團子父子の存在だ。

「最近、團子の奮闘ぶりが評判のせいか、中車が“今後の澤瀉屋は自分たち父子で背負っていく”ような発言を堂々とするようになってきた。それどころか、昨年7月には、三代目が復活させた名舞台『菊宴月白浪』に、事件で降板した四代目の代役として出演。なんと主役を演じ、さらには宙乗りまで披露したんです」

 まるで三代目のあとを継いだかのような奮闘ぶりである。その努力には頭が下がるが、肝心の舞台の方は……。

「なんとも見苦しい芝居で、客席からは失笑が起きる場面もあった。あれを観て、もっとも残念に思ったのは、Fさんではないでしょうか。このままだと、澤瀉屋の伝統が中車によって汚されかねない。團子もまだ若い。だったら、やはり四代目に復帰してもらうしかない。ついては、うっかり〈猿之助〉の名跡を松竹が預かってしまっては、三代目の実子である中車に“奪取”されかねません」

 そしてもう一点、すっかり忘れられているのが、昨年の事件の原点となった、四代目のセクハラ・パワハラ騒動である。

「なぜ、四代目があんな事件を起こしたのかといえば、一部週刊誌の“スクープ報道”がきっかけでした。特定の男の子だけを可愛がり、意に添わない役者を遠ざける――それがあまりに露骨だと報じられた直後に、事件を起こしました。この件をはっきりさせないままでは、仮に執行猶予が明けても、気持ちのいい舞台復帰はむずかしいと思います。ただでさえ、中車のホステスへのセクハラ騒動の記憶が残っていますから、このままでは、澤瀉屋は“ハラスメント一座”ですよ」(演劇担当記者)

 実は四代目は、幼少期から“女の子”のような繊細な神経の持ち主だったという。ある澤瀉屋関係者が語る。

「四代目が男の子好きであることは、報道されたとおりです。子どものころから、女性的な感性をもっている子でした。それだけに、澤瀉屋のなかでは、将来を不安視する声もあった。というのは、三代目は荒事やコメディ役のほか、女形もこなしました。しかし歌舞伎の女形は、あくまで“男が演じる女性”なのです。三代目は、真正の“男”でした。老婆の舞踏劇『黒塚』などが典型で、もう性別など超越していた。それが歌舞伎の魅力であり、ひいては澤瀉屋芝居の面白さなのです。しかし四代目は、女性的な要素が勝っているために、かえって女形をやると、どこか醒めているところがある。近年では『傾城反魂香』の女房おとくを演じていましたが、どこか“型”だけで通しているような感じがあった。“男”として、荒事も女形もこなす澤瀉屋独特の色合いが、四代目では出せないのではと、関係者はむかしから心配していたのです」

 では、父・中車が期待を寄せる團子は、どうなのか。

「團子はとにかく、古典の経験がすくない。観客動員を考えると、やはりスーパー歌舞伎か復活狂言に起用することになる。しかし初期のスーパー歌舞伎は、三代目がそのときの自分の年齢にあわせて当て書きし、役をつくってきました。第1作『ヤマトタケル』では、三代目はすでに47歳だったんです。それをいま、20歳の團子がやっている。『ヤマトタケル』だけは役柄が美少年なので、なんとかできた。しかし、このあとの『オグリ』や『八犬伝』になると、とても無理です。最終第9作『新・三国志III・完結篇』のとき、三代目はもう64歳。つまりスーパー歌舞伎は、大ベテランのために書かれた演劇なのです。よって少なくとも三代目時代のスーパー歌舞伎の再演は、團子ではむずかしい。あとは、四代目時代のスーパー歌舞伎II『ワンピース』などですが、これらも四代目が脚本や演出に名を連ねているので、すんなりとは再演しにくいでしょう。澤瀉屋以外の一門の古典舞台に、客演的に招いてもらい、鍛えられることを待つしかない」(前出・関係者)

 だったら、『オグリ』や『八犬伝』の主役は、おれがやるよ――と中車が出てこないことを祈るのみである。

デイリー新潮編集部

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