半年でダイヤ再改正…「京葉線」騒動は収束せず JR、千葉市、習志野市の言い分は
千葉市の考えは
ダイヤ改正から3か月にも満たない短い歳月で、「ダイヤ改正の成果が得られた」とは考えにくい。その点を広報担当者にも再質問したが、曖昧な物言いに終始した。
一方、京葉線のダイヤ改正にもっとも反発を示した千葉市は、今回の再改正発表をどう受け止めているのか?
「9月に実施予定の新しいダイヤは、これまで通勤快速が運行していた平日朝の7時台に快速を設定することが発表されています。通勤快速は海浜幕張駅をはじめ千葉みなと駅・稲毛海岸駅・検見川浜駅には停車しませんが、快速はこれら4駅にも停車します。それでも所要時間は通勤快速に近づくレベルです。JR東日本千葉支社は、ダイヤ改正から1年を待たずに再改正するという異例の対応をしています。その点については、一定の評価に値するものと考えています」と話すのは、千葉市都市局都市部交通政策課の担当者だ。
千葉市は2024年2月8日にJR東日本の本社に対して、翌2月9日にはJR東日本千葉支社に対してそれぞれダイヤの再検討を求める署名を沿線19市町と連名で提出。
また、京葉線ダイヤ改正の影響等に関するアンケートを3月23日から4月30日の期間で実施。5月22日にアンケート結果の速報版を公表し、JR東日本千葉支社に「市内京葉線各駅及び内房・外房沿線と東京方面との速達性、幕張新都心・蘇我副都心等の拠点性の維持・確保のため、通勤・退勤時間帯の快速の増便や東京との所要時間の改善を図ること」、「多数のイベントが開催される土日曜日を含む幕張新都心来街者の行き帰りの利便性と速達性の確保に十分に留意すること」、「今後も定期的・継続的にダイヤ改正等に係る協議の場を設けること」の3点を申し入れている。
通勤快速の復活は実現しなかったが、今回のダイヤ改正発表は千葉市をはじめとした内房線・外房線の沿線自治体の要求が反映されていることは間違いない。
しかし、千葉市都市局都市部交通政策課の担当者は「東京方面から帰宅する際の夕夜間帯の速達性、業務機能が集積し、土曜や休日に多くのイベントが開催されている幕張新都心の来街者の行き帰りの利便性や速達性の面で不十分と考えている」と納得していない。
千葉市は引き続き通勤快速にとらわれず、東京方面との速達性や幕張新都心等の拠点性の維持・確保につながるダイヤ改正を求めるという。
今度は習志野市の怒りが…
沿線自治体とJR東日本千葉支社の京葉線のダイヤ改正をめぐる問題は、ひとまず一件落着のように思われた。ところが、事はそう単純ではなかった。9月のダイヤ改正が発表されると、それに千葉県習志野市が異を唱えたのだ。
習志野市は千葉市の西隣にある自治体で、京葉線内には新習志野駅がある。新習志野駅は通勤快速が廃止された3月のダイヤ改正前から各駅停車の列車だけしか停車しない。つまり、3月のダイヤ改正では、列車の停車本数が増えるという恩恵を受けた数少ない自治体でもある。
再改正で快速が増えると、新習志野駅に停車する列車は減る。それは列車の発着本数が減るだけではなく、通過待ちの時間が増えることを意味する。当然、新習志野駅の利便性は低下する。
そうした事情から習志野市は「JR東日本千葉支社における京葉線ダイヤの変更発表について」と題した報道リリースを発表。文書からは、習志野市の怒りが滲み出ている。
「京葉線は3月にダイヤを改正したばかりです。それにも関わらず、再び9月にダイヤを改正します。わずか半年では周知期間にもならず、利用者や沿線の住民は混乱するばかりです。単に快速列車が増えるだけなら問題はありませんが、快速が増える一方で各駅停車は減ります。そのため、新習志野駅に停車する電車は最大で1日12本も減るのです。これは容認できません」と憤るのは習志野市都市環境部都市政策課の担当者だ。
千葉市の担当者が口にしたように、3月に実施されたダイヤ改正の内容が約半年で見直されて新ダイヤに変更されることは異例だ。千葉市にとって約半年での再改正は得るものが多かったが、習志野市は振り回されたという徒労感が残った。
「ダイヤ改正は、市民生活に大きな影響が出る重要な問題です。自治体も無関心ではいられません。JR東日本にとって、ダイヤ改正はそんなに軽く扱うものなのでしょうか?」(習志野市都市環境部都市政策課担当者)
まさに、あちらを立てればこちらが立たず。通勤快速の廃止に端を発した京葉線のダイヤ改正問題は、いまだ収束の気配が見えない。
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