半年でダイヤ再改正…「京葉線」騒動は収束せず JR、千葉市、習志野市の言い分は

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 2023年12月にJR東日本千葉支社が発表した京葉線のダイヤ改正は大きな波紋を呼んだ。京葉線は千葉県千葉市の蘇我駅―東京駅間を結ぶ約43.0キロメートルのほか、2つの支線を擁する。通勤快速は京葉線の“本線格”ともいえる蘇我駅―東京駅間を走る列車で、蘇我駅で接続する内房線・外房線とも直通運転していた。

 京葉線の通勤快速は蘇我駅を出発すると、東京・江東区の新木場駅までノンストップで走る。そのため、内房線・外房線の沿線から東京へと通勤するために利用していた“千葉都民”も少なくなかった。

 ダイヤ改正により、通勤快速は全廃。快速も平日は10時から15時台までのデータイムのみに縮小運転に変更された。通勤快速が廃止されことで、通勤にかかる所要時間はおおむね20分の増加が見込まれることになった。

 通勤時間が20分増えるなら、その分を見越して家を20分早く出てればいいだけの話。というわけにもいかない事情もある。例えば、「通勤前に子供を保育園へと預け、それから電車に乗っていた。20分前では保育園が開いていない」というケースもある。

 通勤快速の廃止により、内房線・外房線の住民たちは「東京に近い場所へと転居する」か「転職する」「異動・在宅ワークを申し出る」のどれかを選択することになる。

 いずれも容易に選択できるものではないが、どれかを選択しても生活スタイルの大幅な見直しを迫られる。悲痛な叫びを代弁するかのように、千葉県や千葉市と内房線・外房線の自治体は通勤快速廃止に反対の声をあげた。

 特に千葉県の熊谷俊人知事や千葉市の神谷俊一市長が通勤快速の廃止に対して否定的なコメントを出し、JR東日本千葉支社の一方的な姿勢を批判。ダイヤ改正の撤回を求めた。

JRも予想外の反発だった?

 一方、当初のJR東日本千葉支社は通勤快速の廃止に大きな反対は起きないし、理解してもらえると甘く考えていたフシがある。

 なぜなら、筆者はJR東日本千葉支社が通勤快速の廃止を打ち出した2023年12月に広報部担当者を取材したが、その回答はあまりにも他人事のように感じられたからだ。

 JR東日本千葉支社の回答は、2024年1月8日に配信された「デイリー新潮」でも記述したが、《「(今春の)ダイヤ改正において、『京葉線の通勤快速を廃止』と報道されていますが、弊社としては列車種別を変更したという認識です」》というものだった。

 年が明けた2024年1月になっても、地元紙である千葉日報をはじめ大手全国紙やテレビ各局などが京葉線の通勤快速廃止について頻繁に報道。ネットニュースでも繰り返し取り上げられるなど、騒動は収まる気配を見せなかった。

 大きな反発を受け、最終的にJR東日本千葉支社は朝の時間帯に快速を2本復活。いったん発表された新ダイヤが、沿線の自治体の反発によって改正前に再改正されるという異例な事態も起こった。

 しかし、快速2本が復活しただけでは、千葉市をはじめ内房線・外房線の自治体は納得しない。通勤快速の復活を含め、引き続きダイヤの復元を求めた。

 そうした自治体の反発に押される形で、JR東日本千葉支社は5月30日に京葉線の新ダイヤを発表。新ダイヤは「朝・夜時間帯に京葉線と内房線・外房線を直通する各駅停車4本(上下2本ずつ)を快速に変更する」というものだった。わずか半年足らずで京葉線のダイヤを再改正した理由について、JR東日本千葉支社広報部に聞いてみると

「3月のダイヤ改正は『通勤快速の利用者を平準化させること』、『各駅停車の運転本数を増やすことで、快速が停車しない駅の利便性を高めること』、『通勤快速や朝夕の快速がなくなることで通過待ちがなくなり、各駅停車の所要時間が短縮できること』の3点を目的にしていました。ダイヤ改正により、これら3点の成果を得られたと考えております。そのため、9月に再改正することになりました」と説明した。

 通勤快速廃止時に想定以上の反発があったことが影響しているのか、今回の担当者は慎重に言葉を選びながら、筆者の質問に回答している。しかし、肝心の通勤快速の復活に関しては「利用が少ないという事情を考慮し、復活は検討しませんでした」(JR東日本千葉支社広報担当者)との説明だけだった。

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