〈「共同親権」の落とし穴〉「15年以上も経ってから不倫相手が突然、子供を認知して“親権”の主張を…」 不倫カップルを襲った前代未聞のトラブルの顛末とは

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 離婚後も子供の親権を父親と母親の双方に認める「共同親権」の導入を盛り込んだ改正民法が5月に国会で成立した。父母が一緒に子育てに責任を持つことで「より子供の利益にかなう」環境整備へ期待がかかる一方で、「共同親権」ではカバーできないケースも現実には残されている。その代表例が、法律上は未婚の「不倫カップル」間で生じる子供をめぐるトラブルだ。

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 77年ぶりの見直しとなった改正民法は2026年までに運用が開始される予定で、現在の父母いずれか一方に親権が認められる「単独親権」から、今後は父母双方が親権を持つことも可能になる。

 共同親権は「子供の利益」がいま以上に確保されることを目的の一つに掲げるが、DVや虐待の加害者側が親権を得て“負の連鎖”が続くことを懸念する声もある。しかし、それでも多くの夫婦にとっては「朗報」と受け止められているなか、「制度から取り残された状況で、不安だ」と漏らす女性たちも少なくない。

 首都圏に住むシングルマザーの木口明里さん(仮名・40代)もその一人。明里さんがこう語る。

「私には現在、上から高2(長男)、中3(長女)、小6(次男)、小4(三男)の4人の子供がいますが、子供たちの父親であるAさん(60代)は既婚者で、奥さんとの間にはすでに成人した子供(嫡出子)もいます。いわゆる不倫関係に当たりますが、もちろん私もこんな関係をこれほど長く続けるつもりはありませんでした。ただ交際の節目ふしめで彼が約束した『妻とは離婚する』との言葉を信じてしまい……」

 不倫相手との間に子供を4人ももうけるというケースだけでも珍しいが、その子供たちをめぐる「現在の状況」がさらに複雑を極めているという。

「妻はいるが、交際してほしい」

 明里さんがA氏との出会いをこう振り返る。

「Aさんと初めて会ったのは約20年前。当時、私は銀座のクラブに勤めていて、そこに彼がお客さんとして来店したのが始まりです。『実家が裕福なエリートサラリーマン』と紹介された彼は、確かに育ちの良さを感じさせる“寡黙な人”というのが第一印象でした。その後、彼が店に通うようになり、徐々に私とも打ち解けた関係に。しばらくすると彼から食事に誘われるようになって、さらにその後、交際を申し込まれるようにもなりました」

 ただし、A氏はその前に「俺には妻と子供がいる」と打ち明けていたため、明里さんは当初、付き合う気などまったくなかったという。

「“不倫関係に未来はない”と考えていたからで、それでも彼の紳士的で優しい面には惹かれるところがありました。彼はその後も諦めず『付き合ってほしい』と言ってきて、笑って受け流しながらも彼と食事を重ねるうち、私のなかで彼への“好き”という気持ちが芽生えていった。ついに何度目かの交際申し込みの時、『私にきちんとした彼氏が見つかるまでの間なら』との条件付きで交際を了承したのです」(明里さん)

 以降、A氏との間に4人の子供が生まれるが、結局、A氏は妻と離婚することはなかった。そればかりか、子供の「認知」に関しても明里さんを失望させたという。

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