杉山清貴、プロデューサーに注意され「カチンときたままレコーディング(笑)」 今では珍しい「オメガトライブ」というバンドの在り方
ヒット・プロジェクト形式のバンド
他にも、おススメの曲を尋ねてみると、
「第18位の『TRANSIT IN SUMMER』(1stアルバム『AQUA CITY』収録)は、当時の邦楽としてはかなり画期的でカッコいい曲ですし、第26位からある『NEVER ENDING SUMMER』がIからIVまで組曲になっているので、バラバラじゃなくてまとめて聴いてもらえたら嬉しいです。ライブで盛り上がる『海風通信』も聴いてほしいけど、きっとオメガトライブのイメージじゃないんでしょうね。でも、今の聴かれ方が当時の人気曲と全然違うんだなって勉強になりました!」
80年代には、オメガトライブが康珍化×林哲司コンビで「ふたりの夏物語」を、チェッカーズが売野雅勇×芹澤廣明コンビで「涙のリクエスト」や「ジュリアに傷心」を、そしてC-C-Bが松本隆×筒美京平コンビで「Romanticが止まらない」をそれぞれ大ヒットさせているが、彼らバンドメンバーは決して曲が作れなかったのではない。一流のカッコいい曲をヒットさせようとスタッフが一丸となって真剣に闘っていたのだろう。
90年代あたりから、バンドもソロも自分で曲を作って当たり前、という風潮になったが、こうしたオメガトライブのようなヒット・プロジェクト形式のバンドが今もいたら、きっと今の音楽シーンはより幅広い世代に向けたヒット曲が増えるのではないだろうかと思えてきた。
次回からは、杉山清貴のソロ作品について語ってもらおう。
(取材・文:人と音楽を繋げたい音楽マーケッター・臼井孝)