杉山清貴、プロデューサーに注意され「カチンときたままレコーディング(笑)」 今では珍しい「オメガトライブ」というバンドの在り方

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本人も喜ぶ第6位の楽曲

 Spotify第6位には、3rdアルバム『NEVER ENDING SUMMER』収録の「Misty Night Cruising」。杉山が作曲した全楽曲の中で最も上位となっている。♪Don’t look back Darlin’~というサビが耳に残るアップテンポの楽曲で、バンドの作品というよりも、職業作家のようにテクニカルな魅力がある。

「1stアルバムの『AQUA CITY』では、アマチュア時代のストックから3つの自分の曲を入れてもらって、やったー!なんて思っていたら、2ndアルバムの『RIVER’S ISLAND』ではまったく曲が出来ず、1曲だけ(『最後のNIGHT FLIGHT』)どうにか採用してもらえたんですよ。それがあまりに悔しかったので、この3rdアルバムでは頑張って4曲も採用してもらえました。この頃、デビューして1年ほど経って、作曲家として覚醒したんじゃないですかね(笑)。なにしろ、林哲司さんの素晴らしい曲を入れて出してって繰り返していたんですから。当時は、デモテープにイントロのフレーズなども自分で入れて、それをアレンジャーの方が再現してくれたので、すごく嬉しかったんですよ。いい曲を書いたという満足感もあったので、ここで上位になっているのはめっちゃ嬉しいです。

 後々になって、『Misty Night Cruising』は、シングルで出しても良かったよねって、メンバー間でも話してましたし、林さんからもそう言われたほどです。でも、シングルは林さんに敵わないと思っていたし、その時に良い曲と一瞬思える曲が出来たとしても、偶然だろうって流される感じでしたね」

 確かに、杉山と林のメロディーラインは、サビでスコーンと抜ける高揚感が共通していて、どちらも爽快感が強い。サビから作ったことで採用されることも多かったようだ。

 他方、「君のハートはマリンブルー」は、当時、オメガトライブ3番手のヒットながら、ここでは第9位とかなり低い。

「これは、もっと上位だと思っていました。まさしく歌謡曲ラインの作品で、榊原郁恵さんが出演なさったドラマ『としごろ家族』(TBS系)の主題歌でしたからね」

 確かにカラオケでしみじみ歌いたくなるようなマイナー調のバラードなので、日本限定だともっと上位かもしれない。ちなみに、彼らの所属レコード会社は日本テレビ系列なので、多くのタイアップやテレビ出演は同局が多めだったが、当時のオメガトライブは、その制約を飛び越えるほど魅力的だったのだろう。

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