「AIスピーカーと同居」「ネット上に友達がたくさん」 89歳の世界最高齢プログラマーが伝授するシニア世代の「デジタル生活」 櫻井よしこ×若宮正子

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「100万円のパソコンが使いものにならず…」

櫻井 同感です。そもそも私が感銘を受けたのは、若宮さんが銀行員として定年間近になった時、その当時は高価だったパソコンをご自分で買ってきて、デジタルを独学で習得されていったことです。

若宮 58歳の時でした。その年になるまで、どうしてパソコンを使わなかったのかと聞かれることも多いのですが、普通の人が買えるパソコンが出てきたのが、ちょうど1990年代だったんですよね。

櫻井 そうでしたね。私はそれ以前、もう何十年か前に富士通が売り出したパソコンを100万円くらいで買ったことがあるのです。かなり大きくて、私の書斎の一角をでんと占めるくらい。それを使いこなそうとしたんですが、キーボードを打っても1秒くらいたってから反応が戻ってくる。仕事には使えないと思い、諦めました。

若宮 今のパソコンとは全然違いましたものね。

櫻井 私自身の理解する能力がない上、使い勝手がよくないこともあって、せっかく買ったのにガラクタにしちゃった。それでもやらなきゃいけないと何回も買い替えたんですが、何一つモノにできず今に至ります。若宮さんは本の中でとにかく触りなさい。失敗しても大丈夫。怖がっちゃいけないと説いておられますが、先に先にと歩んでこられた原動力は何でしたか。

一人で海外にも

若宮 私は性格上、面白くないことには手をつけたがらない。それが困ったところだと自覚していますが、とにかく面白いと思ったら集中できるタイプなんです。

櫻井 気張って“挑戦するぞ”という姿勢ではなくて、とにかく面白いからやってみるという気持ちだった。

若宮 おっしゃる通りで、とにかく面白いからやってきたというわけです。

櫻井 「面白がり屋さん」なんだ!

若宮 まさに「面白がり屋」だから、やたら海外旅行にも行く。昔から未知の場所に出かけると好奇心が湧いてきて楽しくなります。

櫻井 海外に一人で。行動力が衰えない!

若宮 出かける時も可能な限り歩く。それが健康の秘訣(ひけつ)だと思っています。おかげさまであちこちから講演会などのお誘いがあって、5月も東京だと渋谷のヒカリエだとか、今度は四国の香川県へも行ってきます。先方とのやり取りとか切符の手配なんかも、全部自分でやって、一昨日も秋田県へ行ってきました。

櫻井 それはすごい。秋田県では、どちらの街へ行かれたのですか。

若宮 県庁のある秋田市です。あえて新幹線で行きました。飛行機でも行けますが、鉄道の方が車窓から景色をキチンと見られる。この土地はどういう場所か。どんな暮らしが営まれているのか。そういったことが、この目で実感できますから。

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