「鬼レンチャン」達成で話題! ものまね芸人“ハリウリサ”が明かす「浜ちゃんものまね」誕生秘話と、「LGBTQ」であることをカミングアウトした理由
「この番組のおかげで、今の私はあります」
「『ウチのガヤがすみません!』(日テレ系)で浜田さんのものまねをしたら、フットボールアワーの後藤さんが、“似てへんのに、よう自信満々でやるなぁ!”と突っ込んでくれるようになって。私の浜田さんのものまねは、“似てないことを誰かが突っ込むまでがセット”という説明書を作ってくれました。『ウチのガヤがすみません!』は私にとってのターニングポイント。この番組のおかげで、今の私はあります」
説明書ができたことで、欠けていたインパクトを補うことができた。いまだ、「結果発表~」「しばくぞ、コラ」「なんでやねん」など浜田ものまねの手札は、驚くほど少ない。そのことを正直に伝えると、「やかましいわ!」と即座にものまねが響く。なるほどたしかに、説明書の有無はものまねの輝きを左右するのだと納得してしまう。
前述したように、高校時代に通ったボイストレーニングで、ハリウさんは心無い言葉を浴びせられる。しかし、ホリプロコム所属直後から今にいたるまで、ずっとボイストレーニングに通っているという。
「事務所のマネージャーさんに、歌まねをするんだったら歌の技術をアップさせた方がいいと言われて通うようになりました。歌っていると、やっぱり歌が好きなんだなって自覚するんです。歌手へのあこがれが捨てきれなくて、ずっと夢見ていたんですね」
浜田ものまねで認知されるようになったハリウさんは、地道に歌のレッスンを続け、カラオケ番組などに出場するようになる。そしてついに、「千鳥の鬼レンチャン」の「サビだけカラオケ」で鬼レンチャン(10曲クリア)を果たすまでになる。番組で語られた母・ヴィルマさんとのエピソードが話題を呼び、先日放送された「FNS鬼レンチャン歌謡祭」(フジ系)では、オリジナルソング「ヴィルマ」をフル尺で生歌唱した。
<身体は女 心は男 理解が出来なくて消えたくなった>
鬼レンチャンを達成した放送では1番しか流れなかったが、歌謡祭では2番の歌詞も流れた。その中に、次の告白がある。
<身体は女 心は男 理解が出来なくて消えたくなった そんな私を母は知っていて 抱きしめて明るく話してくれた 「愛は自由よ それでいいんだよ 何にも悪いことしてないのだから」>
番組を見ていて、ハッとした人も少なくなかったのではないだろうか。私はXジェンダー。どうしてそのことを歌詞として乗せようと思ったのか。
「『ヴィルマ』は母への思いを語った歌です。この曲は、招待した母へのサプライズとして、私の単独ライブ(2022年)用に作ったんですね。母とのエピソードを書き出し、それをはなわさんが歌詞として整理してくれたのですが、自分の心と体の話は母とのエピソードを語る上で、避けて通れないことでした」
かつてハリウさんが男性と交際をしたとき、ヴィルマさんは「あなたが男性を好きになるわけがない」と指摘したという。
「母は、あえて触れずに聞いてこなかったんだなって。私は子どもの頃、周りと違う母を憎んだのに、母は周りと違う私を受け入れてくれていた」
ランドセルを買うとき、紺色のランドセルが欲しいとせがんだ。髪の毛は伸ばすことよりも、短髪を好んだ。母は、ずっと前から気付いていた。
「小学校4年生くらいのときに、好きな子の名前を言い合うみたいなことがありました。私が、女の子の名前を口にしたら、みんながどよめいて。女の子が女の子を好きなのはおかしいんだなって」
中学生になると、わざと髪を伸ばしてみた。けれども、モヤモヤは晴れず、「このまま生きていくしかないな」と言い聞かせたという。
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