【W杯予選】ミャンマ―戦で中村敬斗は三笘薫の穴を埋められたか

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 W杯アジア2次予選のミャンマー戦が6日にヤンゴンで行われ、日本は中村敬斗と小川航基の2ゴールなどで5-0と圧勝した。すでに9月から始まる最終予選進出を決めている日本。6月の2試合は消化試合とも言えるが、森保一監督は「選手を試す部分、そしてシステム、戦術的に全体的に浸透度を上げていき、最終予選に行けるよう活動したい」と狙いを話していた。

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 このためミャンマー戦では戦い慣れた4-2-3-1ではなく3BKシステムの3-4-2-1を採用。ウイングバックの菅原由勢と中村は常に高い位置取りからゴールを狙い続けた。力の差はもちろんあるが、この試合で貫禄を示したのがボランチに入った2人、鎌田大地と守田英正だった。

 鎌田は絶妙なポジショニングでパスを引き出しつつ、球離れの速さで日本の攻撃にリズムをもたらした。前半17分の中村の先制点も鎌田の視野の広さと判断の速さが生んだゴールと言える。そして守田は日本がボールをロストすると、素早い切り替えでボール保持者にプレッシャーをかけ、攻撃を遅らせると同時に味方と連動してボールを奪い返していた。危機察知能力が一段と高まった印象を受けたものだ。

 そしてミャンマー戦では2ゴールを決めた中村と小川についても触れる必要があるだろう。これまで日本の左サイドには三笘薫が君臨していた。しかし昨年12月21日にリーグ戦で左足首を負傷。その影響から1月のアジアカップでは2試合の出場にとどまり、これといった活躍を見せられなかった。さらに三笘は今年に入ってからも2月18日の試合で腰をケガして長期離脱を余儀なくされてきた。

三笘と中村の違い

 そんな三笘に代わって台頭してきたのが中村だった。昨年3月のウルグアイ戦で代表にデビューすると、いきなり4試合連続ゴールの離れ業をやってのけた。彼の持ち味はカットインからの思い切りのいいシュートにある。ミャンマー戦の2ゴールも右足をしっかり振り切ってのクリーンシュートだった。これで中村は9試合で8ゴールの量産ぶり。ここ1年の急成長には目覚ましいものがある。ケガで離脱している三笘の穴をしっかり埋めていると言えるだろう。

 ただ三笘と違ってタテに抜け出してクロスを送るプレーはあまり得意としていない。このため1点目のようにカウンターで自ら抜け出すか、右サイドから崩して左の中村でフィニッシュという得点パターンが必要になる(2点目は中央で小川が粘ってアシスト)。その点、右サイドの攻撃的なポジションには堂安律が入ったが、彼もカットインからのフィニッシュを得意とするため、中村だけでなく小川にも前半はチャンスらしいチャンスがなかった。

 小川は、パスを受けて自らドリブル突破を仕掛けてゴールを狙うストライカーではない。クロスに合わせるプレーを得意とするだけに、ラストパスを送ってくれる味方が必要になる。それがミャンマー戦では相馬勇紀だった。菅原に代わり相馬が右ウイングバックに入ると日本の右からの攻撃が活性化。小川の1点目は相馬がカットインしつつルックアップして、ファーサイドに絶妙なクロスを送ると、抜け出した小川がヘッドで決めた。

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