「音楽が置き去りにされている感覚があった」 音楽プロデューサー「亀田誠治」を突き動かした“無料フェス”を主催する理由

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「小田和正」「佐野元春」も…大物アーティストが続々参戦する理由

 コロナ禍が収束したことで、海外アーティストの来日が相次いでいるが、最近ではアリーナ最前列のチケット代が“数十万円”というケースも珍しくない。そうした情勢下でも、亀田氏が“無料開催”にこだわる背景には、「感動体験を通じて豊かでしなやかな人間性を育てていきたい」という思いがあるという。

「僕たちは世界中で起こっている戦争や紛争、能登半島地震のような深刻な自然災害、そしてもはや待ったなしの気候変動といった、さまざまな社会問題と対峙せざるを得ない状況に置かれています。これらの現実を受け入れる寛容な“心の平安”を育むために最も大事なのは、音楽や文化であると僕は信じているんです。言葉の壁や国境も越えられる“音楽の力”の大きさや、素晴らしさを知ってもらいたい。そのために全ての人を受容できるようお金や環境といった“ボーダー”を取り払っていきたい。そのためにはどうしても入場無料にする必要があったんです」

 日比谷音楽祭が掲げる理念には、多くのミュージシャンも賛同している。実際、6回目の開催となる今年は、亀田氏が20年近くプロデュースに携わっているスピッツをはじめ、コロナ禍で中止になった2020年の音楽祭に出演が叶わなかった小田和正、佐野元春といった「今年ようやくタイミングがあった」豪華なゲストも名を連ねた。

「スピッツのアルバムを作っている時に、スーツ姿でスタジオに行ったことがあるんです。メンバーから“今日は入学式か何かあったの?”と冗談半分で聞かれたので、さっきまで日比谷音楽祭の協賛金の支援をお願いして回っていたんだと伝えたら、想像もしていなかった答えが返ってきた様子で。スピッツの出演は今回が初めてですが、音楽祭に懸ける僕の前向きな姿をメンバー4人は、ずっと見てくれていたんです。小田和正さんも毎年オファーさせて頂き、ようやくスケジュールのタイミングが合いまして。出演のオファーを引き受けて下さいました」

 そして、亀田氏と同じくセントラルパークのフリーライブに感銘を受けたミュージシャンたちも、続々と参加の意思を表明している。その一人が佐野元春だ。

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