中学受験で不本意な結果に…リベンジ塾通いに燃えていた高1女子は、なぜ不登校になったのか

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幼少期から睡眠を大事にして東大合格へ

 一方、睡眠の大切さに気づいて、子どもの睡眠を大事にしてきたのは、マナト君のお母さんだ。

「息子は乳児期の夜泣きがひどく、小児睡眠専門医に通っていました。とにかく睡眠が大事だと思い、幼児向け学習塾や英会話など勉強系の習い事は一切やらせないと決め、外遊びをたっぷりさせ、疲れさせて早く寝かせることに全力をそそぎました」

 小学生のときは水泳と合気道を習わせ、小5の秋から中学受験塾に通わせたものの、「睡眠を削って勉強させるくらいなら、公立中でいいと考えていました」という。

 マナト君は高望みをせず、実力にあった第1志望の私立中にトップ合格で入学した。中学高校でも睡眠を大事にし、運動部で楽しく過ごしつつ勉強にも励んで、塾に通わずに東大に現役合格した。

不登校対策は胎児期から始まる

 三池医師は「不登校を予防し、脳を発達させるには、胎児期から準備が必要です。お母さんの入眠時間をその日を超えないように注意し、3食を毎日できるだけ同じ時間にして、夕食は早めの時間にとります。すると、生後の睡眠リズムが整い、ぐっすり眠る下地ができます。胎児期、新生児期、乳幼児期から中高生に至るまで、睡眠は脳を育てる大事な役割をするのです」と話す。

 とはいっても、受験生が睡眠時間を十分に取るのは難しいだろう。

「その場合、せめて夕飯の時間を塾でも家でも同じ時間にすることです。塾の授業前や休み時間に食べるなど工夫するといいでしょう。そして夜食は厳禁です。胃に食べ物が入ると覚醒反応が起き、朝起きられない原因になります」

 中学受験でも大学受験でも、睡眠を削ると取り返しのつかないことになる恐れがある。拙著『中学受験をして本当によかったのか? 10年後に後悔しない親の心得』(実務教育出版)では、さらに実例を紹介している。(文中のカタカナの人名は全て仮名)

小山美香(こやま・みか)
大学時代からフリーライターに。大学卒業後は「サンデー毎日」(毎日新聞出版)の編集記者を経て、フリーランスに転身。中学受験情報サイトでのべ160校以上の私立中学校高等学校を取材したほか、現在は不登校や通信制高校、子ども食堂など、子どもをめぐる事象について取材・執筆。著書に『中学受験をして本当によかったのか? ~10年後に後悔しない親の心得』(実務教育出版)がある。

デイリー新潮編集部

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