500本以上の作品を手がけた「B級映画の帝王」ロジャー・コーマンさん 「映画に一番大切なのは“脚本”」という信念
監督やプロデューサーとして手がけた映画は500本以上。しかも、赤字をほとんど出しておらず、「B級映画の帝王」と称賛された。それがアメリカのロジャー・コーマンさんだ。
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撮影は早く、安く、内容は娯楽に徹した。監督した代表作に挙げられる「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」(1960年公開)は、あきれて笑ううちにひき込まれる。主人公は花屋で働く青年。彼が育てる見慣れない植物は人体を食らい、言葉を喋って餌を催促、困り果てた青年は殺人を犯し死体を植物に与える――。同作の製作費はわずか3万ドルほど。2日で撮影されたというが評判を呼んだ。
ロジャー・コーマン抜きにアメリカ映画史は語れない
映画評論家の垣井道弘さんは言う。
「映画作りに一番大切なのは脚本だと考え、実践していました。話の骨格がしっかりし、芝居が生き生きとしていれば、セットがお粗末でも観る人は気にならないという信念があった」
映画評論家の白井佳夫さんも振り返る。
「コーマンさんの存在を抜きに、ここ半世紀余りのアメリカ映画史は語れない。低予算ゆえ若い才能を発掘して安く現場で使い、結果として監督、俳優を育てた」
監督ではフランシス・フォード・コッポラ、マーティン・スコセッシ、ジョナサン・デミなど。俳優もジャック・ニコルソン、ピーター・フォンダ、ロバート・デ・ニーロら多彩だ。
「それぞれ名を成してからも、怖さや狂気と笑いが混じった表現ができた。観る人を飽きさせない創意工夫にコーマンさんの影響を感じます」(垣井さん)
コーマンさんは、大きく伸びた監督は知性があり地道に働き、次第に自身の創造性を試していたと回想。俳優は、荒々しさと傷つきやすさといった相反する要素を持つ人が成長したと捉えた。ただし自身は決して師匠ぶらなかった。
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