日本の「マックハンバーガー」はタイ、ベトナムより安くなっていた 現地調査でわかった超円安の衝撃
首都・ハノイで調査
あり得ないほどの超円安が続く中、海外に行くたびに気になるのが現地の物価だ。特にマクドナルドのビッグマックの価格を比較したビッグマック指数(The big mac index)は、各国・地域の物価水準や購買力を把握する基準として使われている。では、東南アジアの観光名所ではどうなのか。ベトナムの首都・ハノイの高級商業地域の一角にあるマクドナルドを訪れた筆者は、ハンバーガーとチーズバーガーの値段を見て驚いた。日本はベトナムに抜かれるほど“安い国”になっていたのか――。【豊島ハヤト/トラベルライター】
【写真】タイのハンバーガー、実物。ベトナムのマックはタッチパネル方式、実際の店内
世界的に有名なハノイのホアンキエム湖。風光明媚な小さな湖は、オートバイが無秩序に爆走する市内の喧噪からは想像できないほどの落ち着きを保っている。その南東に位置する高級デパートには、欧米の高級ブランドショップが数多く入店しており、欧米の観光客で賑わっていた。マクドナルドは道路を挟んだその向かいにある。日本と比べて値段はどうなのか。
注文は日本でも導入されているタッチパネルのセルフオーダー式。「Burger」をタッチするとさまざまな種類のハンバーガーの値段が一覧できる。最安値の「ハンバーガー」は3万6000ドン、「チーズバーガー」は4万6000ドン、「ビッグマック」は7万6000ドンと表示されていた。1万ドンは約61円(5月30日現在)のため、円換算するとそれぞれ220円、280円、464円となる。これには愕然(がくぜん)とした。日本ではそれぞれ170円、200円、480円だ(公式HPより)。かろうじて「ビッグマック」は日本の方が若干高いが、「ハンバーガー」と「チーズバーガー」はベトナムの方が断然高いという予想外な結果となった。円安がさらに進めばビッグマックも逆転されるだろう。
為替レートを見ると、2020年末は1万ドン=45円だったため、当時と比べるとベトナムドンに対し35%も円安になっている。ベトナムでは、フランスパンに卵やチキン、野菜をはさんだ「バインミー」が2万ドン(122円)から3万ドン(183円)、ポピュラーな麺料理の「フォー」が5万ドン前後(約305円)という安さが当たり前。にもかかわらず、マクドナルドのハンバーガーが日本より高いことに驚いたのだ。
ベトナムではマクドナルドが高級料理になっているのだろうか、と勘ぐったが、店内を見渡すと若い学生風の客と海外からの観光客が多い。富裕層ばかりというわけではなさそうだ。原因は何よりも為替レートで円安が続いているためだろう。我々、日本からの海外旅行者にとって、円安は財布を直撃する極めて不都合な経済要因だ。政府日銀は何をしているのか。
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