叡王戦第4局 藤井八冠と伊藤七段の対局には「男同士、同い年と遊んでいるような楽しさを感じる」

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同世代、楽しそう

 最終局についてはどうか。

「逆転負けが続いた藤井先生が今回は圧勝です。5局目に向けて日数的に休養もできるし。流れを断ち切れたのは大きい」

 そして田中さんはこう継いだ。

「藤井先生はこれまで年長者とばかり指してきたけど、やはり気を遣うはず。年上よりも同世代と指す方が絶対楽しいでしょう。男同士、同い年と遊んでいるような、根拠もない楽しさですよ。伊藤先生にも頑張ってほしい。次で伊藤先生が勝つと歴史が変わりますよ。将棋界にしても、いつまでも藤井先生におんぶに抱っこというわけにいきませんから」

 押しも押されもせぬ王者の藤井とて、まだ将棋界のトップに長年君臨してきたとは言えまい。何しろプロ入り7年目の21歳なのだ。それでも田中さんをして何十年も君臨してきたかのように「歴史が変わる」とか「いつまでも」と言わせてしまう。

 改めて藤井聡太という若者の存在の大きさを感じた。

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に『サハリンに残されて』(三一書房)、『警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件』(ワック)、『検察に、殺される』(ベスト新書)、『ルポ 原発難民』(潮出版社)、『アスベスト禍』(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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