低栄養への落とし穴…「おばけタンパク」とは? 認知症予防に「豚汁」が役立つ理由

ドクター新潮 ライフ

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心がけるべきは3点

 とはいえ、難しく考える必要はありません。エネルギー源とタンパク質と野菜。この三つを、三食いつも取るように心がける。私はこれを「三位一体食」と呼んでいます。具体的には、例えばご飯(エネルギー源)1膳に、鶏唐揚げ(タンパク源)3個に、野菜を100~130グラム食べる。

 これってものすごい努力を要するわけでもなく、極めて普通の食事内容だと思うんです。つまり、普通の食事をしていれば低栄養は防げる。この「普通」が難しいのかもしれませんが、健康的に生きるには、ちょっとした知識とちょっとした努力は欠かせませんよね。食欲に限らず「三大欲求」はどれも“程度”が重要ですから、食に関してだけとりたてて努力を要すると大げさに考える必要はないはずです。

認知症予防に役立つ豚汁

 いかにして低栄養を避けるか。中高年にとっての最大の課題についてお話ししてきましたが、中高年が気になることとして、もう一つ認知症が挙げられるかもしれません。

 残念ながら認知症を完全に予防する食事はありませんが、生活習慣病が認知症を発症する大きな因子であることが分かっていますので、まずは生活習慣病にならない食事が大切です。その上で心がけるべきは3点。血管を健康に保つ、抗酸化作用の高いファイトケミカル(植物性化学物質)を取る、腸を整える、の三つです。

 血管の健康維持に関しては、血圧の急激な上下動を防ぐために、麺だけ、パンだけという「糖質オンリー」の食事を避ける。ファイトケミカルを取るには、色の鮮やかな野菜を食べる。そして腸を整えるには、例えば豚汁がお薦めです。

 脳腸相関という言葉が示すように、腸の健康は脳の健康につながります。そして腸にとって良い食事には、「腸で働く善玉菌を多く含む食べもの(プロバイオティクス)」と、「善玉菌を育てる食べもの(プレバイオティクス)」を合わせた「シンバイオティクス」という考え方が大切です。発酵食品であるみそはプロバイオティクスの、食物繊維が豊富なゴボウやコンニャクはプレバイオティクスの、それぞれ代表格といえます。従って、これらが一緒に取れる豚汁は認知症予防に役立つ食事といえるのです。

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