資金力はバイデンが2倍…トランプが克服できない二つの弱点 民主党の“切り札”とは

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“ランニングパートナー”に求められる資質

 7月の党大会までに、トランプ氏は“ランニングパートナー”となる副大統領候補者を指名する必要がある。通常、副大統領候補者は大統領候補者とは異なるパーソナリティーの人物が選ばれる。大統領候補者自身の手が届かない有権者層や資金源にアクセスする役割を果たすためだ。

 2016年の大統領選挙では、保守派内に確固たる支持基盤を持たなかったトランプ氏は、保守派(とくに福音派)から絶大な支持を受けていたマイク・ペンス氏を副大統領候補者に招き入れた。それにより、全国的な選挙戦を行うための戦略やスタッフを補うことができた。

 2024年現在、トランプ氏は保守派内に自らの橋頭堡を築くことに成功しており、副大統領候補者には複数の選択肢を持っている。一人は最後まで予備選挙で争ったニッキー・ヘイリー元国連大使だが、トランプ氏が彼女を起用することは考えにくい。なぜなら副大統領は憲法の規定により、大統領をクビにする権限を持つからだ。

 合衆国憲法修正第25条では、副大統領及び閣僚の過半数の同意があれば大統領の執行不能を宣言できる手続きが定められている。トランプ氏は過去にも敵対勢力によって、何度も同条項の適用を検討されており、自身が信頼の置けない人物を副大統領候補者に選ぶことはしないとみられる。

難航するパートナー選び

 現時点で有力な副大統領候補者は、ティム・スコット上院議員である。スコット氏はアフリカ系の安定感がある保守派で、共和党議員との信頼関係、そして一定の資金調達力を持つ。有色人種票の掘り起こしに活用が可能で、私から見ても共和党内の政治基盤を盤石なものとするにはふさわしい人物といえる。

 ただ、彼はトランプ氏に反抗的な上院共和党ナンバー2のジョン・スーン氏と懇意で、2021年1月6日の連邦議会襲撃事件後にバイデン大統領就任を認めた経緯もある。そのため、スコット氏もトランプ氏から見れば忠誠度にはやや難がある。

 ヘイリー氏もスコット氏も選べない場合、トランプ氏は選挙戦略上は妥当とはいえない、トランピスト(トランプ信者)を指名する可能性がある。代表格はサウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事、共和党のエリス・ステファニク下院議員、実業家のヴィヴェク・ラマスワミ氏が挙げられる。ただし、トランピストを選択するなら、トランプ信奉者以外の支持が欠かせない接戦州での戦いは厳しいものとなる。

 先日も、激戦州の一つであるペンシルべニア州で保守派大集会「PLC」が開催された。この集会は、共和党の重鎮であるグローバー・ノーキスト全米税制改革協議会議長が「最重要イベント」と表現したことで注目された。理由は、ここで参加者による副大統領候補者の模擬投票が行われたからだ。

 結果はトランピストのラマスワミ氏と、スコット氏がトップで並んだ。トランプ氏が前者を選べば、接戦州での共和党の団結は困難となり、中間層からそっぽを向かれる可能性が高い。

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