「海外旅行ならベトナムが天国」は本当か 衝撃の「生ビール60円」 超円安も吹っ飛ぶお得感

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命がけの列車カフェ

 ところで、ハノイといえば最近、超人気スポットとなっているエリアがある。それはホアンキエム湖から徒歩15分ほど西に位置するハノイトレインストリート(鉄道通り)。200メートルほどの線路の両脇におしゃれなカフェがびっしりと並び、通過する列車を至近距離で眺めることができる。通過する列車は1日2本。列車が接近してくるとカフェの最前列を観光客が陣取り列車が来るのを待つ。

 あたりを見回すと欧米系の若い男女の観光客が大多数。次いで中国系が多い。世界でも例を見ない観光スポットに皆、大はしゃぎだが、いざ実際に見てみると血の気がひく恐ろしさである。線路との距離は1メートル弱。列車が通過中、少しよろけて線路側に倒れれば即死間違いなしだ。そういった事態を避けるため、地元住民がメガホンを持って線路から離れるよう観光客に何度も警告を発していた。少しでも線路に近づくと「下がれ!」と直接お叱りを受ける。それでも超危険な命がけのアトラクションであるのは間違いない。こんな無茶苦茶な観光スポットは世界広しといえどもここだけではないだろうか。

 この夏にベトナムに行くなら、世界的に人気が高まっているビーチリゾートのダナンをお薦めしたい。比較的新しいホテルが多く、しかもハノイよりもう一段安いというのが実感だ。1人1泊3000円前後の予算があれば立派なホテルに泊まれる。今年開業したばかりのビーチ近くの瀟洒なホテルは屋上プールがあり、朝食付きの20平方メートルの部屋(クイーンベッド1台)が約2200円という驚きの値段。

 筆者は3月、ミーケビーチ沿いにある中規模ホテルのシングルルームを予約したところオーバーブッキングが判明。レセプションの若い女性から代わりにオファーされたのはキッチン、リビング、寝室、洗濯機、ジャグジーバス付きのスイートルーム。これで2500円はあり得ない。街並みは整備されており清潔感がある一方、ダナン大聖堂やハン市場などの歴史のある観光スポットも点在しており散策が楽しい。

 6月出発のダナン直行便(LCC)は東京、大阪とも最安値は2万2000円ほど。一方、韓国からの便はさらに安くソウル→ダナンは1万1000円台。日本からソウル便を手配した後にソウルで何日か過ごしてからダナン、あるいはハノイ行きを予約するという選択肢もお得感がある。今回筆者が旅行サイト・Tripで手配したチケットは東京→ハノイのベトジェット直行便で1万6680円。搭乗前日に同じ便を確認したところ8万4000円台に値上がりしていた。チケットの手配は早めが肝要だ。

 天気についていうと、ハノイの夏は降雨量が多く湿度が高い。外出して「涼しいな」と思っても10分歩くと汗びっしょりの天然サウナ状態だ。一方、熱帯モンスーン気候の中部・ダナンは1月から8月にかけてカラッとした晴天が続く。カオスとは無縁の美しいビーチでビールを飲んでまったり。こちらの方がはるかに“天国”だが、数日ビーチで穏やかに過ごすと、なぜか喧騒渦巻くハノイの“危険な香り”が恋しくなってくる。

 中毒性のあるベトナムへの旅は勇気が試されるのだ。

豊島ハヤト(とよしま・はやと)
早大卒業後、大手マスコミに就職。取材でアジア、ヨーロッパ、豪州などを駆け巡る。退職後、フリーライターに。専門分野は海外旅行や海外事情のほかエスニックフーズ、ノマドスタイル、海外移住、日本の中国・韓国人社会など多岐にわたる。月刊誌に書評、映画評のほか東京・歌舞伎町を舞台にしたアジア系移民による闇ビジネスのルポルタージュも発表。

デイリー新潮編集部

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