「海外旅行ならベトナムが天国」は本当か 衝撃の「生ビール60円」 超円安も吹っ飛ぶお得感
小腹がすくとバインミー
筆者は小腹がすくとバインミーを買い食いしていたが、地元名物で特に気に入ったのはブンチャーだ。注文するとテーブルに出てきたのは細い米の麺、炭火で焼いた豚の肉団子やたけのこが入った甘酸っぱい茶色のスープ、レタスやハーブのミント、シソ、もやしなど野菜がどっさり盛られた皿。お好みで備え付けのニンニク、唐辛子、コショウをスープに入れると味が複雑化してうまい。ボリューム満点なハノイ発祥の名物料理の値段は6万ドン(360円)。東京のベトナム料理店の3分の1以下だろう。
同様にホテルも高騰気味の日本のビジネスホテルに比べ格段に安い。旅行予約サイトのagoda(アゴダ)で調べると、歴史的な遺産が多く観光スポットの多いハノイでは1人3~4000円ほどの予算でかなり快適な部屋が予約できてしまう。ハノイの旧市街地は世界中の観光客が集まるバー密集地帯のターヒエン通りやホアンキエム湖近くのタンロン水上人形劇場、空港より両替レートが良い貴金属店が軒を連ねるHa Trung(ハーチュン)通りに近いとあって外国人観光客でごった返す人気スポットとなっている。
ただし、このあたりのホテルを予約する際には注意が必要だ。一帯は建物が林立していて隣の建物と密着しているケースが非常に多い。そのため安い部屋を予約していざチェックインすると窓がなかった、というケースがザラにある。予約する場合はサイト内の「眺望」の項目をよく確認すること。窓がなく薄暗くて蒸し暑い部屋は旅行気分を台無しにしてしまう。
物価が安いのは確かに魅力なのだが、だからといって誰にとっても快適な旅行になるとは限らない。ハノイの負の名物となっているのが乱雑で危険過ぎる交通事情だ。迷路のように入り組んだ路地の四方八方からバイクや乗用車、自転車、人力車が飛び出してきて信号無視は当たり前。観光客が歩道を進もうにも大量のバイクが駐輪されていて先に進めない。バイクや乗用車の耳をつんざくけたたましいクラクションは、この都市の“カオス”を如実に体現している。
噴水が美しいドンキンギアトゥック広場近くの路上を歩いていたところ、目の前を歩いていた欧米系熟年カップルにベトナム人女性の自転車が突っ込んだ。幸い、双方にけがはなかったが、歩行者のすぐ脇をバイクが次々と走り抜けていくこの街では外出と危険は隣り合わせだ。
ホアンキエム湖の土日歩行者天国では「あなたの国のお札を見せてくれ」と言って財布から紙幣を抜き取る中東系詐欺師に話しかけられ、外国人と見るやバインミーを倍の値段で売りつけるぼったくり屋台にも出くわした。いずれも撃退したが、ハノイの闇を色濃く映し出しており旅行者は最大限の注意が必要だ。
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