「海外旅行ならベトナムが天国」は本当か 衝撃の「生ビール60円」 超円安も吹っ飛ぶお得感
カオスな交通渋滞
しつこい超円安が続く中、米国や欧州の物価高を聞くにつけ海外旅行熱が冷めていくばかりの日本人。そんな中、“穴場”としてバラエティー番組でクローズアップされているのがベトナムだ。首都ハノイ行き直行便は東京から5時間35分、大阪から5時間という近さ。個人旅行の場合、予算は3泊4日で5万円ほどあれば十分。しかも街中いたるところで美味なローカル料理が堪能できるとあって、日本からの観光客が増えているという。ただ、それでも不安はないのか。アジアの旅行事情に詳しいトラベルライターの豊島ハヤト氏がリアルなベトナムを報告する。
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【写真】超危険なカフェ通り…目の前ギリギリを列車が通過、1杯60円の生ビール、美味しそうな屋台のローカルフード
かつておもちゃ箱をひっくり返したような魅惑的な観光地といえば魔都・香港だった。頭がクラクラするような極彩色と無数のネオンサインが通りにはみ出して、輝きを競い香港の旅情を誘っていた。しかし、近年、建築法の改正で次々と撤去されかつてのきらめきは失われてしまった。
そんな香港に代わってカオスの代表格となってきたのがベトナムの首都ハノイだ。風光明媚なホアンキエム湖、街中にあふれる緑の樹木と色とりどりの花、建国の父ホー・チ・ミン初代国家主席の肖像画……。それらは観光宣伝用に作られたメディアのキャッチコピーに過ぎない。ハノイには複雑多岐にわたる魅力とそして危険が混在している。
まずはハノイの“天国”から語ろう。何といっても物価の安さだ。例えば、緑豊かで涼やかな観光スポット・ホアンキエム湖北側一帯に広がる旧市街のビアオム(安いビールを提供する飲食店)では、生ビール1杯1万ドン(約60円、多くはグラス)、卵やパテ、野菜を挟んだバインミー(フランスパンを使ったサンドイッチ)は2万ドン(120円)から3万ドン(180円)。
日本でも人気のベトナム麺のフォーも4万ドン(240円)から5万ドン(300円)、惣菜店のテイクアウト弁当は野菜炒めや肉料理のおかずたっぷり4品で5万ドン(300円)という安さ。もちろん高級レストランに行けばこの数倍に跳ね上がるが、欧米からの観光客は屋台に毛のはえたような料理店に楽しそうに群がっている。
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