「そりゃ、やっぱり殿のそばにいたいですよ」玉袋筋太郎がそれでも師匠・ビートたけしに会わない理由を語る

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オジサンは背中で語れ!

 もう一つ、本書で指摘されているのは、「自分の身の丈をわきまえて行動すること。それはそれでカッコいい」というもの。

「履いている下駄を脱ぐと楽になりますよ。でも、若い時って自分を大きく見せようとしてつい下駄を履いちゃうんだよね。無理をしないで、たとえクズでもクズなりに生きていく。でも、実はクズのようでいてクズではない生き方をする――これ、オレのことね(笑)。鎧を脱ぐとでもいうのかな、昔のようにオレが、オレがではないんだよな。楽になるよ、本当に」

 最近のオジサンたちは、新入社員など、若い人を酒席に誘いづらくなっているという。ハラスメントに厳しい時代の流れもあり、楽しく一杯やりながら、というわけにはいかなくなっているという悩みをよく聞く。

「簡単だよ。無理して誘わなくてもいいの。若い人にはね、酒でも仕事でも、オジサンたちが楽しそうにしている背中を見せていれば、『あれ、なんか楽しそうだな』って、向こうから寄ってくるよ。こっちへ来いよ、なんて言わなくていい。自分たちが楽しんでいる姿を見せてあげればいいんだよ」

 若い人への接し方で言うと、玉袋も怒ったり説教したりすることはなくなったという。

「怒るって、オレが怒れる立場じゃないでしょ、この本を読めばわかるけど(笑)。ただ、最近の若い人を見ていると、叱られ上手と褒められ上手がいないな、と思いますね。特にオレは褒められ上手でね。殿や高田文夫先生から何度も『どんどんやれよ、お前ら面白いんだからよ』って褒めてもらって、それが励みになって頑張れたからね。若い子は何で褒めさせてくれないんだ、褒めさせてくれよ、褒めたいんだよオレ……これが正直な気持ちかな」

(文中敬称略)

玉袋筋太郎
1967年、東京都新宿区生まれ。高校卒業後、ビートたけしに弟子入り。1987年、水道橋博士と「浅草キッド」を結成。2020年、独立してフリーに。著書に『粋な男たち』(角川新書)、『スナックの歩き方』(イースト新書Q)など。「町中華で飲ろうぜ」(BS―TBS)、「金曜ワイド ラジオTOKYO えんがわ」(TBSラジオ)などのレギュラーの傍ら、スナック好きが高じて赤坂に「スナック玉ちゃん」を開業。一般社団法人全日本スナック連盟会長。

デイリー新潮編集部

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