「そりゃ、やっぱり殿のそばにいたいですよ」玉袋筋太郎がそれでも師匠・ビートたけしに会わない理由を語る
オジサンは背中で語れ!
もう一つ、本書で指摘されているのは、「自分の身の丈をわきまえて行動すること。それはそれでカッコいい」というもの。
「履いている下駄を脱ぐと楽になりますよ。でも、若い時って自分を大きく見せようとしてつい下駄を履いちゃうんだよね。無理をしないで、たとえクズでもクズなりに生きていく。でも、実はクズのようでいてクズではない生き方をする――これ、オレのことね(笑)。鎧を脱ぐとでもいうのかな、昔のようにオレが、オレがではないんだよな。楽になるよ、本当に」
最近のオジサンたちは、新入社員など、若い人を酒席に誘いづらくなっているという。ハラスメントに厳しい時代の流れもあり、楽しく一杯やりながら、というわけにはいかなくなっているという悩みをよく聞く。
「簡単だよ。無理して誘わなくてもいいの。若い人にはね、酒でも仕事でも、オジサンたちが楽しそうにしている背中を見せていれば、『あれ、なんか楽しそうだな』って、向こうから寄ってくるよ。こっちへ来いよ、なんて言わなくていい。自分たちが楽しんでいる姿を見せてあげればいいんだよ」
若い人への接し方で言うと、玉袋も怒ったり説教したりすることはなくなったという。
「怒るって、オレが怒れる立場じゃないでしょ、この本を読めばわかるけど(笑)。ただ、最近の若い人を見ていると、叱られ上手と褒められ上手がいないな、と思いますね。特にオレは褒められ上手でね。殿や高田文夫先生から何度も『どんどんやれよ、お前ら面白いんだからよ』って褒めてもらって、それが励みになって頑張れたからね。若い子は何で褒めさせてくれないんだ、褒めさせてくれよ、褒めたいんだよオレ……これが正直な気持ちかな」
(文中敬称略)
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