「そりゃ、やっぱり殿のそばにいたいですよ」玉袋筋太郎がそれでも師匠・ビートたけしに会わない理由を語る

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我慢も悪くない

 本書でも触れているが、50代からの生き方として「がっつくな、よだれをたらせ!」という項目がある。老後が見えてくると人生のゴールや自分に与えられた時間を考えるようになる。そうすると「死ぬ時に後悔しないように」との思いから「今すぐやろう」「やりたいことは何でもやってみる」という考えになりがちだ。

「そうじゃないんだよな、オレの考え方は。やりたいことをなんでもやるのは、身勝手でもあるからね。浅草時代でいえば、当時のオレの友達はみんなバブルを謳歌して、やれプレリュードだ、ソアラだ、フェアレディだって車を乗り回し、楽しんでいた。こっちはダニに食われて貧乏生活だけど、おかげで芸人に必要な“タメ”ができたと思っている。目の前のご馳走にすぐ飛びつんじゃなくて、じっと我慢するのも悪くはないよ。やせ我慢と言われればそれまでだけど、タメを作るのは必要だと思う」

 そんな玉袋が、今、ガマンしていることがいる。他ならぬ、師匠のビートたけしに“会う”ことだ。

「そりゃ、やっぱり殿のそばにいたいですよ。憧れて入門した師匠だし。ただ、弟子の務めというのは、やっぱりきちんと仕事をすることだと思うんだ。仕事も何もしないでフラフラしていたら、師匠に会わせる顔がなくなっちまうからね。幸い、今でもいくつか仕事をさせて頂いているので、師匠孝行ができているとは思うんだけど…」

 と言って、こう続ける。

「付き人だって、運転手だって、殿のそばにいられたら、そりゃもう最高ですよ。オレがよく言うのは『殿は竜宮城』。そばにいる間は、テレビ局のお偉いさんからなにから、みんな『たけしさん、たけしさん』でしょ。そういう環境にいると、カン違いする奴もいるんです。実際、そういう人を見てきたし。でも、そういうヤツは殿のそばを離れた途端、浦島太郎になっちゃうだな。憧れて、好きで好きで弟子になったけど、だからといってずっとそばにいてもダメなんだね。竜宮城にいて浮かれている間に、他の連中に芸事で抜かれてしまう。だからオレと博士は浅草へ行った。殿に対しては、初めて会った時の気持ちを忘れないために、あえて近づかない。それは今も同じだよ。本音? そりゃ会いたいよ。殿のそばにいたい。でも、この距離を保つのも、タメを作るのと一緒だよね」

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