殿と相棒と別れ、母親は施設に。妻は愛想を尽かして…玉袋筋太郎が明かす「50代を迎えて、激変した人生」

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 書店をのぞくと「50代」をキーワードにした書籍を多く見かける。人生の折返し地点、サラリーマンであれば「定年=老後」という言葉もチラついてくる。家族のいる人にはパートナーや、子どもとの関係に大きな変化や転機が訪れるかもしれない。

「50代を迎えて、オレの人生は激変した」

 と語る玉袋筋太郎(56)が、新著『美しく枯れる。』(KADOKAWA)を刊行した。

〈殿と相棒と離れ、独りになった。コロナ禍で(経営する)スナックには閑古鳥が鳴いた。初孫が誕生し、母親は施設に入った。カミさんは、オレに愛想を尽かして出て行っちまった〉(同書より)

 そんな玉袋が、人生の後半戦をどう歩くのか。50代からの生き方を教えてくれる。(前後編の前編)

美しく枯れるための土壌づくり

 一読すると、同世代の記者が思わず共感してしまう項目がたくさん出てくるのだが、全ては玉袋が実際に見聞したエピソードを元にしている。

「もともと読む本はノンフィクションやドキュメンタリーが多いんです。だから自分の本もノンフィクションでいかなきゃいけねえのかなと思って。カミさんが出て行ったことや、母親の認知症が進んで施設に入ったことも、すべて書きました。お世話になっている(放送作家の)高田文夫先生(75)は、カミさんのことは知らなかったので、本気で心配してくれましたけど。2020年にオフィス北野(現・株式会社TAP)を辞めてフリーになって、相方(水道橋博士=61)との仕事もほとんどないし。50代になってから、本当に激動の人生でしたね」

 20代から30代の頃に抱く「先がみえない焦り」とは異なり、50代には「先が見える焦り」があるという。嫌なことが続いても、いつまでも「辛い」「大変だ」と言って いては仕方がない。そこで、本書のタイトル のベースとなった「これからの生き方の基本」を考えたという。

「人生、美しく枯れたい。そう思ったんですよ。よくありますよね。50代になったら趣味を持とうとか、定年後には2000万円ないとダメだとか、他人からそう言われるのは余計なお世話だと思うんです。誰だって与えられた時間は平等で、いいことも悪いことも、それぞれが人生で積み重ねてきたものがあるじゃないですか。その現実を受け入れながら、美しく枯れたいなと。ただ、この本を読んでもらったら分かりますけど、オレの人生、かなりトンデモないというか、バカなことばっかりやっているんで。“朽ち果てる人生”になる可能性もなくはないですけどね(笑)」

 同年代の読者が多いが、若い読者もいるそうだ。

「本に書いたオレが経験した事や、考えた事……なーんて言うとカッコつけすぎだけど、よく読むと、全編、オレの愚痴か泣き言でもあるからね(笑)。ま、こういうことが起きるんだよと、若い読者には50代への予防線にして欲しいな。でも、一般の人たちは日ごろ言いたいことも言えず、胸に秘めている思いもたくさんあるでしょう。いわゆる“タメ”だね。こうしたイヤなタメって、そのままイヤな肥料になっちゃうのよ。その意味では、オレにとってこの本を出すことは、美しく枯れるための良い土壌づくりになったと思う。読者の人には、本を読むことで、たとえ人生が辛くても、こういう気持ちでいれば楽になれるんだという気分になって欲しいです」

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