蓮舫氏、「出馬表明」までの全舞台裏 情勢調査で小池都知事に“10ポイント差”をつけられるも「予想よりいい」と手応えを感じていた

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「人生の必然」

 翌26日夜、静岡県知事選挙と都議補選で立憲の候補の勝利が確実になった瞬間、蓮舫はこう悟ったという。

「これは人生の必然だ」

 翌日、蓮舫は都知事選への立候補を表明した。記者会見の司会は、当たり前のように手塚が務めた。

 しかし、これからの選挙戦は厳しいものになるだろう。年間16兆円という中規模国家並みの予算を抱えて、大統領並みの権力を振るってきた現職都知事の実績と知名度を覆すのは容易ではない。また、蓮舫がかつて指摘された、台湾との二重国籍問題が再び問題視される懸念もある。蓮舫は「私は『日本国籍の選択宣言』をして、日本国籍を有して政治家をしている。蒸し返そうとするならどうぞ」と強気な姿勢を見せているが、その影響は未知数だ。また立憲民主党内には、共産党の存在が前に出すぎることを懸念する声もある。立憲幹部はこう語る。

「知事サイドは左翼に都政を任せていいのかなどと攻撃してくるだろう。ただ蓮舫さん自身は元々“中道”の人。選挙戦では政党の推薦は受けずに、共産党色も立憲色も出さずにやるだろう」

 また蓮舫は、小池がかつて掲げた満員電車ゼロなどの「7つのゼロ」はどこへ行ったのかなどと批判するが、一方で自分がどのように東京を変えていくのか。今後、打ち出す具体的なビジョンも大きな焦点となる。小池を支持する都民ファーストの会に所属する都議はこう余裕を見せる。

「蓮舫さんが出馬しても、誰が出ても微動だにしない。こちらは淡々と実績を訴えていくだけですよ」

 東京都民が「小池都政をリセットする」と訴える蓮舫にどこまで期待を寄せるのか。自民党政治への不信が、自民党との連携を進める小池への不信にどこまでつながるのか。東京の暑い夏の戦いは、これからが本番だ。(文中敬称略)

青山和弘(あおやま・かずひろ)
政治ジャーナリスト。東洋大学非常勤講師、青山学院大学客員研究員。1968年、千葉県生まれ。元日本テレビ政治部次長兼解説委員。92年に日本テレビに入社し、野党キャップ、自民党キャップを歴任した後、ワシントン支局長や国会官邸キャップを務める。21年9月に独立し、メディア出演や講演など精力的に活動している。音声プラットフォーム「voicy」で永田町取材やメディア出演の裏話などを発信している。

デイリー新潮編集部

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