蓮舫氏、「出馬表明」までの全舞台裏 情勢調査で小池都知事に“10ポイント差”をつけられるも「予想よりいい」と手応えを感じていた
情勢調査「小池40」VS「蓮舫30」
ただ、蓮舫が前に踏み出すには、補選3勝の勢いだけでなく、自分が小池と勝負ができるという根拠が必要だった。岸田政権の支持率がいくら低くても、都知事選挙はあくまで別物だ。手塚は知事選で小池と蓮舫が激突したケースを想定した情勢調査を掛けた。
調査の結果は、小池知事40に対して蓮舫議員30というものだった。蓮舫は小池に10ポイントの差をつけられている。しかし蓮舫の捉え方は違った。
「出馬表明もしていない私が、現職知事に10ポイント差にまで迫っている。予想よりいい」
この結果は蓮舫を勇気づけた。一方、国会を去るとなると気がかりなのは、蓮舫が師と仰ぐ野田佳彦元総理のことだ。立憲民主党内にある“野田代表待望論”。その中心的な存在が蓮舫と手塚だ。野田も「悲願の政権交代を実現するために、自分にできることは何でもやりたい」と話している。手塚は都知事選出馬の是非を野田に相談すべきかどうか蓮舫に尋ねた。しかし蓮舫はこう答えた。
「野田さんは優しいから、私がやる気があるなら背中を押すし、やる気がなければ止めてくれる。相談しても仕方ないし、私の決断に責任を持たせたら悪い」
党幹部の「パーティー問題」に激高
野田にも一切相談しなかった蓮舫。ただ、最後まで懸念していたのは、立憲民主党が政治資金パーティーの全面禁止法案を国会に提出しているにも関わらず、岡田克也幹事長ら党幹部が自らのパーティーを計画していた問題だ。
蓮舫は「冗談じゃない。他の仲間に迷惑だ」と激高し、執行部にパーティーの即時中止を申し入れていた。そして、この問題は世論の批判を浴び、5月26日投開票の静岡県知事選挙や目黒区の都議補選で自民党候補の追い上げを許していた。投開票前夜、一連の応援演説が終わった後、手塚は疲れたのどを潤しながら蓮舫に尋ねた。
「岡田幹事長たちのパーティーの影響で、明日の選挙で負けたらどうしようか」
蓮舫は思い定めたように語った。
「その時は都知事選への出馬はやめましょう。立憲に新しい執行部を作って、政権交代を狙いましょう。でも、もし勝ち切ったら、その勢いで都知事選挙に挑みましょう」
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