交流戦で大騒動! ガッツポーズで“乱闘騒ぎ” 岡田監督は“暴力行為”で人生初退場、球審もブチ切れた

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マウンドに向かって「よっしゃあ!」

 過去18回(2000年はコロナ禍で中止)にわたるセ・パ交流戦の熱戦の中から、記憶に残るシーンを3回にわたって振り返る企画の第3回は、判定や感情の行き違いなどがきっかけで起きた3つの騒動を紹介する。【久保田龍雄/ライター】

 ガッツポーズが原因で乱闘騒ぎになったのが、2005年6月8日のロッテ対巨人である。

 1点を追う巨人は7回2死一塁、清水隆行が藤田宗一から顔付近を襲う危険球を投じられる。かろうじて避けた清水は、次の2球目直球を右翼席に叩き込み、5対4と逆転した。

 清水がマウンドに向かって「よっしゃあ!」と叫びながら、派手なガッツポーズで一塁を回ると、これを藤田に対する侮辱行為と受け止めたファースト・フランコが怒りをあらわにする。

 清水のホームイン直後、フランコが「ダイヤモンドを回るなら、投手に話しかけるな」と抗議したのをきっかけに、両軍ナインが集まり、もみ合いとなった。

 森健次郎球審が警告試合を宣告して試合再開となったが、今度は9回の巨人攻撃中に第2ラウンドが勃発する。

 無死一塁で矢野謙次の送りバントの打球を処理しようとした捕手・里崎智也が、矢野と交錯したにもかかわらず、森球審が「出会い頭のプレー」を理由に「インプレー」と判定したことがきっかけだった。

 バレンタイン監督が「なぜ守備妨害を取らないのか?」とルールブックを手に声を荒げて抗議し、試合は19分中断した。

 審判団が協議した結果、「成り行きとして試合を再開」という玉虫色決着に。「無死一塁から再開」という主張が認められなかったバレンタイン監督は、この回に決定的な2点を失ったとあって、「今後はウチの打者に下手なバントをさせて、打席にとどまらせるよ」と試合後も怒り心頭だった。

巨人がプレー映像を検証して抗議

 ベースを踏まなかったか否かをめぐり、試合後も騒動が尾を引いたのが、2006年6月11日のロッテ対巨人である。

 1対1の3回、巨人は2死一塁でイ・スンヨプが右中間に勝ち越し2ランを放ったが、サード・今江敏晃が一塁走者・小関竜也の三塁ベース空過をアピールし、西本欣司三塁塁審もアウトを宣告した。

 この結果、小関がスリーアウトめとなって、この回の攻撃が終了したことにより、李の本塁打は記録上、シングルヒットに格下げとなった。本塁打を打った以外の走者が原因で本塁打が取り消しになるのは、史上初の珍事だった。

 2対3で敗れた巨人は、“幻の2点”に泣く結果となり、騒ぎは翌日以降も続く。巨人側は問題のシーンの映像を入手し、再検証した結果、小関が右かかとで三塁ベースを踏んでいると確信。「明らかな誤審」(清武英利球団代表)として、ビデオ判定の導入も盛り込んだ抗議文を6月13日にセ・リーグに郵送した。

 これに対し、豊蔵一セ・リーグ会長は「リプレー映像による判定を取り入れておらず、論評すべきではない」と回答し、ビデオ判定についても「考えていない」という立場を明らかにした。

 一方、巨人側は「当該選手は一生背負っていかなくてはいけない。『論評すべきではない』の一言で片づけられては納得できない」(原沢敦取締役総務・編成本部長)と映像資料を添えて再度抗議書を送ったが、連盟側は「審判の判定は最終のもので、論評する立場ではない」と前回同様の回答に終始した。

 だが、この一件がきっかけで、同年9月にコミッショナー事務局で開かれた事業委員会でビデオ判定の導入が議論され、2010年シーズンから導入されることになった。

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