小池百合子v.s.蓮舫を元都庁幹部はどう見ているか 「間違いだらけの政策」と「間違いだらけの出馬会見」とは

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管理職から切実な悲鳴

 実は小池氏、「5000円給付」をサプライズ発表するため、少数の幹部にしか事前に知らせなかった。これが後で大きな騒動を引き起こしたという。

「小池さんがサプライズ発表した後になって、関係部局へ指示が降りたわけです。もちろん現場は『聞いていない』と大騒ぎでした。ところが小池さんの側近は『知事のために早く実施しろ』と強い圧力をかけます。担当職員は残業に次ぐ残業で、身を粉にして働き続けました。苦しい仕事が子育て世帯の支援につながるのなら納得もできますが、結局は小池さんによる人気取り施策の片棒を強制的に担がされているわけです。どこの部署でも似た状況で、都職員のストレスは看過できないレベルに達しています。特に管理職が『もう西新宿の本庁では働きたくない。出先に避難したい』と悲鳴を上げています」(同・澤氏)

 小池氏の「自分だけが目立てばいい」という本音が透けて見えたことがある。東京都が高校授業料の実質無償化を打ち出した際、埼玉、千葉、神奈川の3県が「地域間格差が拡大している」と懸念を表明し、国に対応を求めた問題だ。

「5月7日、3県は国に『都の財源が潤沢なことで地域間格差が生じている』との要望書を提出しました。これに小池さんは10日の定例記者会見で反論したのですが、その内容に問題がありました。『都の財政が潤沢だから無償化が実現したのではなく、行財政改革を進めている結果だ』と、“上から目線”と反発されても仕方がないような指摘を行ったのです」(同・澤氏)

不平等は無視する小池氏

 3県と小池氏の議論は、どう考えても小池氏の分が悪いだろう。高校授業料の無償化は全国的な施策でなければ地域間の不平等を生むことが明白だからだ。小池氏が無償化を実現したいのであれば、全国の知事と話し合いを重ね、知事会などを通して国に要望するのが筋だという。

「埼玉、千葉、神奈川の3県から都内に通勤し、働いている方々もたくさんおられます。そうした3県民が都の税収の伸びに寄与しているのは言うまでもありません。それだけではなく、3県にある支社や支店が稼働することで、都内の本社も儲かります。3県民の寄与は大きいはずなのに、月5000円の給付や授業料無償化という恩恵は都民しか得られない。これは看過できない不平等でしょう。小池さんは都民の支持を集めるためなら、他県と不平等が生じても構わないと思っているに違いありません」(同・澤氏)

 しかし、これほどなりふり構わず人気取りに走っても、今回の都知事選で小池氏は初めて苦戦を強いられる可能性があるという。

「政治家としての小池さんは『攻めるのは強く、守るのは弱い』という特徴があると感じています。小池さんは1期目と2期目の選挙で『旧来型の都政に穴を開ける』というムーブメントを巻き起こすことに成功し、攻めに攻めました。ところが今回の選挙では“敵役”が誰もいません。そのため1期目と2期目の実績を強調するという戦略しか存在しないのです。発信力が落ちるのは明らかで、守りの選挙戦を小池さんがどう戦うかが一つの注目点になるでしょう」(同・澤氏)

不発の蓮舫氏

 一方、小池氏の対立候補の中では断トツの知名度を誇る蓮舫氏だが、出馬会見は不発に終わったという。

「会見で蓮舫さんは、あまりにも小池さんに攻撃的でした。国政とは異なり、都知事選では対立の構図を鮮明にしても、有権者はそれほど反応しません。神宮外苑の樹木伐採問題のように、具体的な施策で小池さんを批判するのは問題ありません。しかし一方的に小池さんを攻撃するだけの選挙活動では、最終的に有権者は蓮舫さんに反発します。蓮舫さんは貧困など困難な境遇に直面している都民に対して具体的な救済策を打ち出すなど、現実の政策論争で小池さんに対峙しなければ、有権者の支持は得られないと思います」(同・澤氏)

デイリー新潮編集部

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