「真っ赤な夜空」がまた“出現” 中国随一の漁業都市で度々報告される理由とは

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実は一昨年にも出現

「空が真っ赤だ!」――中国のSNSで異様な現象が報告された。確認された場所は上海から南東に約150キロメートル、浙江省の島に位置する舟山(しょうざん)市定海区。舟山市は中国本土の島の25.7%にあたる1390の群島が行政範囲という、中国で唯一の群島から成る市だ。

 自然豊かで風光明媚な場所として知られる舟山市だが、中国のSNSに投稿されたその夜の様子は不気味だった。夜空全体が濃い目の朱赤に染まり、さらには全体が鈍く発光しているように見えたのだ。ライトアップ演出やサーチライトのように局地的な色と明るさではない。

 中国メディアに対し「初めて見た」とコメントした地元住人もいるが、実は今回が初めての現象ではなかった。2022年5月7日に同じ舟山市で、同11日に福建省福州市でも確認され、大きな不安を呼んだことは日本でも報じられている。「あまり長く続かなかった」という今回のコメントからすると、前回を見逃した人が多かったのかもしれない。

多数の漁船が日夜操業

 夜空全体が赤くなるとはなんとも不気味だが、中国の専門家たちはすでに原因に見当をつけているようだ。中国メディアが気象局の説明として報じた内容によると、光源は「漁船の赤色ライト」であり、22年の発生時と同じだという。

 タチウオやサバ、エビ、アジなど約40種が獲れる好漁場を有する舟山市は、中国随一の水産都市である。大型船舶の出入りも可能で、大都市・上海に近い海の玄関口としても重要な場所だ。2011年には国家級新区「舟山群島新区」の承認を受け、様々な優遇政策によって経済発展を続けている。

 そのため、多数の漁船が日夜操業している状況は想像に難くない。22年の発生時も、気象局は「光の屈折と散乱による現象」と解説していた。発生当日は気象条件が比較的良好だったため、水分を多く含んだ大気中でエアロゾルが形成され、漁船が灯す赤色ライトの光が遠くまで散乱されたというわけだ。

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