「敵対した議員に“殺すぞ”のメッセージが」 安芸高田市長・石丸伸二氏の地元での評判…「極めて生産性が低い市長」の指摘も
切り抜き動画の影響
なぜ、彼が一部の人間たちから熱烈にあがめられているのかといえば、非公式の“切り抜き動画”の影響が大きいそうだ。前出の政治部記者によれば、
「それは安芸高田市の公式YouTubeチャンネルの映像から、石丸氏が過激な言葉を放ったところを切り抜き、つなぎ合わせ、センセーショナルなタイトルやテロップを付け、勝手にバラエティー番組のように編集した動画のことです」
YouTubeやTikTokなどのSNSでは、彼に関するこのような非公式の“切り抜き動画”を投稿する専門のチャンネルがいくつも存在し、
「1本あたり数十万もの再生回数を得られることだって珍しくはありません。石丸氏が非公式の動画を容認しているのは、このおかげで自身の知名度が高まったことを理解しているからでしょう。むしろ、動画で切り抜かれることを想定して、過激な言葉を放っているのではないか、とさえ思ってしまいます」(同)
例えば、ある市議が若干たどたどしい質問を行った際、石丸氏は「日本語として意味が分からんところが多いです」「同じ文の中で節が違えど、同じ表現が出てくる。中学生の小論文なら減点です」などと厳しくあげつらう。むろん、“切り抜き動画”の多くは政策に関する議論についても取り上げているが、やはり、タイトルやテロップを用いて強調するのは過激な言葉を放つところばかりだ。
「政治の世界で論破はダメ」
このように“切り抜き動画”が視聴され過ぎた結果、石丸氏はいつの間にやら“広島の論破王”というあだ名まで冠せられるに至った。
彼は都知事選への立候補を表明した動機を“一極集中から多極分散へ。これしか東京と地方が発展する道はない”と自身のSNSに記していたが、もはやエキセントリックな印象ばかりが先んじてしまう。
政治アナリストの伊藤惇夫氏の見解はこうだ。
「石丸氏はこのままではイロモノの枠を出られません。そもそも、政治の世界で論破はダメ。相手を負かせば敵となり、将来にわたって交渉ができなくなってしまう。実際、彼は議会と対立したことで、極めて生産性が低い市長に終始したわけです。大事なのは説得して仲間に引き入れたり、それが難しくても調整を行ったりすること」
後編では、石丸氏が語った市議らが誹謗中傷や嫌がらせを受けていることについての意見や、「無理をしていて自分自身が辛いんじゃないかな、と心配」と語る京大時代の友人のコメントなどを紹介している。
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