「作曲者が自分であの曲は良かったとか言うたらアホ」 「かに道楽」に「アホの坂田」など5000曲以上を手がけた作曲家、キダ・タローさんの“誠実さ”
関西にゆかりのある人なら、作曲家のキダ・タローさんが手がけたメロディーを誰しも口ずさめるはずだ。
速報羽生結弦との「105日離婚」から1年 元妻・末延麻裕子さんが胸中を告白 「大きな心を持って進んでいきたい」
CMソングでは「とーれとれ ぴーちぴち かに料理」の「かに道楽」、「あーらよ 出前一丁」の「日清出前一丁」など。「有馬兵衛の向陽閣へ」に至っては、温泉旅館に誘う何でもない字面から、関西人なら「ありまひょーえのこうようかくへ~」と節回しをつけて歌えるぐらい幅広く浸透していた。
「バラエティー生活笑百科」「プロポーズ大作戦」といったテレビ、ラジオ番組のテーマ曲のほか、あまりの反響から全国の坂田君がアホよばわりされた「アホの坂田」や、北原謙二さんのヒット曲「ふるさとのはなしをしよう」もキダメロディー。作曲は校歌や市歌にも及び、その数は5000曲とも。キダさん本人も把握していない。
ラジオ出演で人気者に
1930年、兵庫県宝塚市生まれ。6人きょうだいの末っ子だ。父親は刑事。
関西学院に進み、戦後、学生バンドを組む。後に俳優として活躍する藤岡琢也さんも仲間だ。作曲は独学。キャバレーなどでピアノを演奏するうち作曲も頼まれ、重宝される。
66年開始の深夜ラジオ番組「ABCヤングリクエスト」のテーマ曲が話題となり、依頼が激増する。73年以降「フレッシュ9時半!キダ・タローです」のラジオ生放送で人気者に。
演芸評論家の相羽秋夫さんは振り返る。
「ゲストの話をじっくり聴くのです。作曲家として関西のテレビ、ラジオに欠かせなくなったうえ、話もうまく面白いと評判に。語り口は丁寧な一方、周りが触れないことを短い言葉でバチッと言います」
放送作家の保志学さんも、
「きついことを言っても、最後にえへっと笑顔を見せて嫌みがない。場面の締めにも広がりにもなった」
[1/2ページ]