【名古屋ポーカー店店長自殺】遺族から「パワハラと過重労働が原因」と訴えられた店側の反論「遺書を見れば失恋がきっかけだったとしか思えません」

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遺族は「遺書こそが精神を病んでいた証拠」と主張

 これらの遺書は労基が作成した資料に写真で載っており、遺族側にも開示されている。記者も遺族側からの提供した資料の中で遺書を確認した。

 遺族は「店側の主張は受け入れられない。遺書に書かれていた内容こそが、遥樹が精神を病んでいた何よりもの証拠」と訴える。

「すべては自分の責任と背負い込むのは自殺する精神病患者の特徴です。遥樹は店の関係者と交わしたLINEの中で、仕事を辞めたいと繰り返し漏らしていました。ずっとパワハラと過重労働に苛まれ続けてきたのです」(遥樹さんの母)

 遥樹さんが店のお金に手をつけたことについては、母も一部認める。

「亡くなる数カ月くらい前、お店のレジからお金を盗んでしまったことは事実です。私も一緒にA氏の元へ謝りに行きましたが、遥樹が働きながら返済するというので受け入れました。悔やまれるのは、あの時、お金を立て替えて実家へ連れ戻さなかったことです。あれから遥樹は弱みをつけ込まれ、店からモノ扱い同然で精神が病むまで長時間働かされ続けたのです。過重労労働と暴行、ハラスメントが死因の根底にあり、金銭トラブルや恋愛はきっかけでしかない」(同)

 そして、取材にA氏が出てこず、部下である社長と役員が応じたことについて「無責任さを感じます」と憤るのであった。

 痛ましい自死から3年半の時を経て始まった裁判で、司法はどういった判断を下すのか。ポーカーをこよなく愛した遥樹さんは生前、仲間達と楽しそうにテーブルを囲んでいたという。ご冥福をお祈りしたい。

前編を読む【名古屋ポーカー店店長の自殺は「パワハラと過重労働が原因」と遺族が提訴 店側は「失恋のショック」と反論 遺品には「身の毛がよだつ暴行動画」が残されていた

■相談窓口

・日本いのちの電話連盟 電話 0570・783・556(午前10時~午後10時) https://www.inochinodenwa.org/
・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター) 電話 0120-279-338(24時間対応。岩手県・宮城県・福島県からは末尾が226) https://www.since2011.net/yorisoi/
・厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」やSNS相談 電話0570・064・556(対応時間は自治体により異なる) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html
・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧) https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php

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