【名古屋ポーカー店店長自殺】遺族から「パワハラと過重労働が原因」と訴えられた店側の反論「遺書を見れば失恋がきっかけだったとしか思えません」

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亡くなった前夜に起きた事件

 A氏と遥樹さんは閉店後、一緒にサウナや食事に行くような仲だったという。

「Aは親のような気持ちで遥樹さんの人生相談にずっと乗ってきたと話しています。遥樹さんを息子のように思い、一時は店を継がせようとも考えていました。いかなる事情があれ暴力は絶対に良くないことですが、こうした人間関係もあって、『ここまでしないとわからないのか』とつい手をあげてしまったのです」(同)

「もちろん手加減をしてますし、大怪我をさせたわけではありません。暴力を振るったのはあの一回限りですし、翌日、遥樹さんは普通に出勤しています。その後、遥樹さんは翌月末で辞めることが決まったのですが、辞めると言い出すのはその時に限ったことではなく、B子への思いが断ち切れずに翻意を繰り返す状態が半年くらい前から続いていました」(同)

 そして、遥樹さんが亡くなる前夜に“事件”が起きたというのだ。

「夜9時ころの営業時間中、遥樹さんはまたB子とのことで気に入らないことがあったという理由で騒ぎ出し、VIPルーム内に閉じこもってしまいました」(同)

 その時、遥樹さんは癇癪を起こしB子さんに暴力まで振るったという。VIPルームのガラスが割れるなどの大事にもなった。

「その時、Aは地方に出張中だったのですが、電話で報告を受け、遥樹さんを叱責しました。そして夜が明けた後、遥樹さんは命を絶ってしまったのです」(同)

遺書に書かれていたこと

 店側がこうした主張を裏付ける証拠としてあげるのが、遥樹さんが店関係者に残した4通の遺書だ。A氏への遺書は感謝の言葉で始まっていた。

〈Aさんへ 本当にすみませんでした。迷惑ばかりかけたり悪いことしたり、最後まですみませんでした。サウナ連れていってもらったり、ご飯連れていってもらったり、仕事ももらったり。御恩を裏切るような事ばかりしてしまいました。親以上に僕の事を思い下さった言葉も時には素直に受け止めることができずにいました〉

 続く文章には直前に起きたとされるB子さんに対する暴行についても触れてあった。

〈B子に手を上げてしまい、償うべきこともせず、裏切って去ることを謝ります。今までありがとうございました。ごめんなさい。遥樹〉

 遥樹さんが他の店の関係者へ宛てた遺書にも、B子さんへ手を挙げたことへの後悔の念が記されていた。そして、B子さん本人に対してもーー。

〈今まですみませんでした。本当にたくさん嫌な思いをさせました。最後にひどい暴力を振るってしまい後悔してもしきれません。ごめんなさい〉

 こうした謝罪とともに、〈好き過ぎて一緒にいてもつらいし、でも本当は一緒にいたくて〉という想いも合わせて綴られていた。

「労基がパワハラを認めなかったのも、我々がこれらの遺書を提出し、これまでに起きた事情を丁寧に説明して理解してくれたからだと考えています」(社長)

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