【名古屋ポーカー店店長自殺】遺族から「パワハラと過重労働が原因」と訴えられた店側の反論「遺書を見れば失恋がきっかけだったとしか思えません」

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 2020年11月に自殺した名古屋市のポーカー店店長(享年25歳)の遺族が「自殺した原因は店のパワハラと過重労働にある」として、店側に約1億円の損害賠償を求める訴訟を名古屋地方裁判所に起こした。店側は「原因は失恋のショックだった」と反論し、徹底抗戦する構えだ。前編では遺族側の訴えをもとに裁判に至るまでの経緯をまとめたが、後編では店側の反論を聞いていく。(【名古屋ポーカー店店長の自殺は「パワハラと過重労働が原因」と遺族が提訴 店側は「失恋のショック」と反論 遺品には「身の毛もよだつ暴行動画」が残されていた】の続き)

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これまで店側が反論を控えてきた「事情」

 亡くなった井上遥樹さん(享年25)は自殺する1カ月前の2020年10月18日深夜1時頃、店内でオーナーのA氏から暴行を受けていた。その一部始終は店の防犯カメラに映っており、遺品のスマホ内に保存されていた。

 キックにパンチ、さらに壁に向かって張り倒すという、身の毛もよだつ暴行動画だった。遥樹さんの死後、それを見つけた遺族は店を疑い始め、遥樹さんの勤務実態を調べた上で、「自殺の原因はパワハラと過重労働にある」と労災を申請した。だが3度退けられ、最終手段として店側を訴えたのである。

 A氏は取材には出て来ず、店の運営会社社長と役員が応じた。社長はまずこう語った。

「これまでは故人の名誉やご遺族の心情も考え、我々の方からの積極的な反論は控えてきました。ただ、法廷に持ち込まれ、かつこのような取材を受けるに至った以上、残念ではありますが、我々の言い分も主張していかねばなりません」

 そして、暴行について「絶対にあってはならないことだった」とした上で、それなりの「背景」があったと釈明した。背景とは、遥樹さんの店の関係者であるB子さんとの「恋愛トラブル」だという。

「B子も遥樹さんが亡くなったことに心を痛めています。これまで具体的な反論を控えてきた理由にはB子のこともありました。当然のことですが若い男女の話であり、どちらが悪いという話ではありません。問題は、遥樹さんがプライベートの揉め事を仕事の場に持ち込み、度々問題行動を起こしてきたことにありました」(取材に同席した運営会社の役員)

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