低金利がウリの「ネット銀行」が“頭金”にこだわり始めた裏事情 「住宅ローン」利用者はそれでも低金利を追うべきか

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自己資金比率を上げてでも適用金利を低く抑えるべき?

 今後、変動金利が上がっていくのであれば、利用者としてはなおさら、適用金利を低く抑えたい。実際に新たにネット銀行で変動金利の住宅ローンを組む場合は、10~20%の自己資金を用意してでも「最優遇金利」にこだわった方がいいのだろうか。

「現状の引き下げ幅であれば、無理して自己資金比率を引き上げてまで、最優遇金利で借り受けるメリットは少ないでしょう。これは“繰り上げ返済はするべきではない”という理由と同じで、金利の引き下げ幅を金融資産の投資リターンが上回るためです。なるべく手元に資金を残して積立NISAやiDeCoに回す方がいいでしょう」(塩澤氏)

 投資信託や債券の年間リターンは平均2~4%と言われており、頭金で手元資金を減らすよりも、投資に回す方が金銭的なメリットが大きいというわけだ。

 しかし、金利が上がり、購入したマンション価格が下がり、金融資産の価値も下がる、こうした事態に陥るリスクはないのだろうか。

「日銀は政策金利を引き上げる条件として、“物価目標2%を安定的に達成”することを挙げています。物価上昇は企業の収益を押し上げる効果があるわけですから、基本的には金利の上昇局面ではインフレとともに株価は続伸することになります。逆に日本企業の業績悪化が続けば物価は下がり、政府日銀が利上げをする理由もなくなるわけです」(塩澤氏)

 多くの現役世代が初めて経験する「金利のある世界」に向け、住宅購入を巡る環境は刻々と変化している。それに呼応するように、資産を守るために求められるマネーリテラシーもまた、複雑化が進んでいる。

デイリー新潮編集部

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